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「ねぇ、どこ行…」
「炭治郎だ。これから長い付き合いになるだろうし、そう呼んでくれないか?俺たち数少ない同期だろう?」
「………どこ行くの…炭治郎」
炭治郎は梢にそう説くと、梢がやっぱり伏せ目がちに言う自分の名前を聞いて満足する。
炭治郎は自分の鼻の下に指を当てる。
「俺は鼻がいいんだ。だから、さっきの二人の跡を辿ろうと思ってる。」
「ふーん……でも、もうすぐ会えると思うよ。」
何故と炭治郎が尋ねると、勘だと梢は言う。
彼は訝しげに梢を見つめた。
「ウ"ゥ…」
「?どうした、禰豆子…あっ」
暫く歩いた後、唸る禰豆子の目線の先には青年の姿をした鬼が道の端に立っていた。
炭治郎は彼の元に駆け寄る。
「待っててくれたんですか?」
「お前を連れてくるように、あの方に言われたんでな」
青年は気難しそうな口調で言い放った。あの方とは先程一緒にいた美しい女性の事だろう。
「俺は匂いを辿れます。」
「目眩しの術をかけている場所にいるんだ。辿れるものか。それより…」
炭治郎が目眩し、と復唱したのにも構わず、青年は炭治郎の左隣を指さす。
「鬼じゃないかその女は。しかも醜女だ」
炭治郎は左側に繋いでいた禰豆子を見て、彼の言った事を訳も分からず何度か脳内で繰り返す。
そうしてる間に、禰豆子は心做しか落ち込んでいる様に眉を下げた。
「醜女の筈無いだろ!!よく見てみろこの顔立ちを!!!」
漸くその言葉の意味を理解した炭治郎が、青年に詰め寄るまでに数秒もかからなかった。
「町でも評判の美人だったぞ!禰豆子は!!」
「行くぞ」
歩き出した青年を、禰豆子を引き摺りながら追いかける炭治郎。
その後を、電灯に群がる虫を目で追いながら梢は着いて行った。
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時