3.幻惑の血の香り ページ6
「「…!!」」
突然現れた美しい花々を象った紋様と、芳しい香り。
そして、鬼の気配。
二人はピタリと動きを止める。
「(何かの攻撃か!?だとしたらまずい…)」
炭治郎は辺りを見渡して鬼の襲撃に警戒する。
が、花の濃い匂いと鬼の血の匂いは強くなる一方だ。
着物を着た女性特有の、小股で歩く足音がして二人は身構える。
「あなたは…」
琴線をなぞったような心地良い声が響く。
紋様の霧の中から姿を現したのは、美しい女性と青年だった。
女性は炭治郎の方を見て話し出す。
「貴方は鬼となった者にも、人という言葉を使ってくださるのですね。そして助けようとしている。」
女性の腕の引っ掻き傷から流れた血は、その傷と共に消える。
それは彼女が鬼である事を言うまでもなく現している。
「ならば私も、貴方を手助けしましょう」
「何故ですか…?貴女は…貴女の匂いは…!」
鬼。
人を喰らう化け物。ソレが人の味方をすると言うのだ。
戸惑いが隠せない炭治郎の声が震える。
「そう、私は____鬼ですが医者でもあり、あの男…鬼舞辻を抹殺したいと思っている」
やがて霧が晴れるように紋様が消えると、炭治郎と少女を残して、ただの月の綺麗な夜へと戻って行った。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時