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兄妹たちは涙を目に浮かべながら、しおしおと説明し出した。
ここは、"化け物"の家だと言う。
兄妹にはまた兄がおり、三人で夜道を歩いていた所を、"化け物"に兄だけを連れ去られたらしい。
兄は出血を伴う怪我をしていて、その血の跡を辿ってここまで追って来たのだと。
一通り話して思い出したのか、兄妹は兄の事を思い、表情を暗くした。
炭治郎は兄妹たちの零れた涙に、堪らず声を掛ける。
「大丈夫だ!俺たちが悪い奴を倒して、兄ちゃんを助ける…!」
「本当…?本当に…!」
一瞬にして晴れた二人の表情を見て、炭治郎の表情も和らぐ。
一方でその場面を見ていた梢は顔を曇らせていた。
きっと助ける、とそう言って炭治郎が立ち上がると、手を当てて何かに耳を澄ませていた善逸は、恐る恐る口を開いた。
「炭治郎、梢ちゃん…なぁ…この音、何なんだ?気持ち悪い音…鼓か?これ…」
眉を八の字にして善逸が尋ねると、炭治郎は不思議がって聞き返す。
その途端。
ポン
ピンと張った獣皮が、軽快な音を立てる。
それは段々大きく、速く、此方に迫るように近付いてくる。
舞台の幕開けのような心躍るようなものではない。
森の中で獣に追い詰められるような、肌が粟立つ不快な音だ。
何度も鳴った鼓の音は、最後に少し間を空けてポンと鳴って、屋敷の二階の襖から何かを投げ出した。
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時