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「……だ、大丈…夫?」
ぎこちない声で、梢は少年に尋ねた。
その沈黙を破った声に、少年は目を丸くする。
炭治郎と梢はその様子を窺うように口を噤んでいた。
バッ
「へ?え?えぇ!?本当!?俺と結婚してくれるの!!??」
「「え???」」
少年が梢の両手を握り、脈略の無い全く持って意味不明な事を言い出した途端に、炭治郎と梢は同時に声を上げた。
少年は鼻の下を最大限に伸ばして梢に抱きつく。
「うぉおおおん!!良かったよぉぉ…!!最終選別で君を見かけてから君より素敵な女の子なんか何処を探してもいなかったからさぁ…!」
「ちょっ、と……やめ……」
炭治郎は突然の出来事にぽかんとしていたが、泣きついて離れない少年を必死に引き剥がそうとする梢を見てハッと我に帰った。
炭治郎は何とかせねばと息を巻いて、大股で二人の元へ近付くと、布を裂くように少年と梢を剥がした。
「やめるんだ!梢は嫌がってるだろ!雀だって困りきっていたぞ!!」
炭治郎に羽織を掴まれて宙ぶらりんになった少年は、彼の服装や顔を見て、あっと声を発した。
「お前は最終選別の時の…」
「お前みたいな奴は知人に存在しない!!知らん!!」
「えぇぇぇっ!!会っただろうが!会っただろうがぁ!お前の問題だよ記憶力のさぁ!!!」
炭治郎は掴み上げた少年をじっと見る。
思い出していたのは最終選別最終日の時の事だ。
生き残った、たった五人の受験者の中に彼は確かにいた。
黄色の目立つ髪色と、あの羽織。
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時