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9-2 ページ31

禰豆子は幼子をあやすように抱き締めながら梢の頭を優しく撫でると、急に離れて踵を返す。

タタッと腕を広げながら向かったのは珠世の元。
珠世は突然抱き着かれ戸惑いながらも、柔らかい手つきで禰豆子の背中に腕を回す。

一方、それに唖然としていた愈史郎はだんだんと目尻を釣り上げる。


「貴様…!珠世様から離れろ!失礼だぞ!!」

「止めなさい愈史郎。良いんですよ。」

今度は珠世に宥められた愈史郎の頭へ禰豆子の手が伸びる。


「〜っ…!!や、め、ろぉ…っ!」

「先程から禰豆子さんがこの様な状態なのですが…大丈夫でしょうか?」

禰豆子の手を引き剥がそうとする愈史郎の傍らで、珠世は心配気にそう尋ねた。
炭治郎は彼女らの元へ歩み寄ると、少し笑みを浮かべて応える。


「心配要りません、大丈夫です。…多分、二人の事を家族の誰かと思っているんです。」

「家族…?」

珠世は少し疑問に思う。

確かに、禰豆子に掛けられた暗示は人間が家族に見えるものであって、鬼の珠世たちには効かないものだ。


「でも禰豆子は、お二人を人間だと判断してます。…だから守ろうとした。」

珠世は眉を下げて目を見張った。

「俺、禰豆子に暗示かかってるの嫌だったけど…本人の意思がちゃんとあるみたいで良かっ…」


炭治郎はそう言いながら目線を上げる。
視線の先で、彼は言葉を止めた。

9-3→←9.ずっと一緒にいる



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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時

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