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8-2 ページ28

朱紗丸はもう戦闘など投げ売り、天を仰いで命乞いをしながら走り出す。


「ぅあぁ…!お許しくださいお許しください!お願いです!どうか許してぇ…!!」

その祈りも虚しく、彼女の肌はどんどん変色して行く。
やがて、ピタリと止まると腕から鞠が零れ落ちた。

その鞠の一つが、やっと珠世たちの所へ着いた炭治郎と梢の前で留まる。
二人は視線を上げた先の光景に、釘付けになった。



「ぁ…ア"あぁっ……!!!!!」

朱紗丸の口や腹から、丸太の様に太く、死体が腐ったような色の腕が血液と共に飛び出す。
喉を塞いでいるらしく、悲鳴らしい悲鳴も上がらない。

青ざめる炭治郎や梢、愈史郎と、目を背ける珠世。


血肉を裂き、骨を砕く音が暫く続いた。




残ったのは、肉片すら残さずすり潰された液体と、それが染み込んだ着物に鞠、一本の腕。


「死んでしまったんですか…?」

炭治郎が恐る恐る尋ねると、珠世はもうすぐ死ぬと返した。


体内に残留する鬼舞辻の細胞は、鬼の肉体を破壊する。

これは例外だ。
基本的に鬼は陽光か鬼殺の剣士の刀以外は鬼に致命傷を与える事が出来ない。
それ故に鬼同士の闘いは不毛だ。



「これが呪いです。」

そう告げる珠世に眉を顰めた炭治郎と、それを抱える梢の元に愈史郎が駆け寄る。


「んぐっ…!」

梢は突然口元に布を押し当てられて息が止まる。
愈史郎は不本意そうに険しい顔で言う。


「おいお前!お前は片手が空いているのだから口を塞げ!珠世様の術を吸い込むなよ…!人体には害が出る。分かったか!」


炭治郎はバッと口を手で覆って何度か頷いた。
すると、珠世は転がった朱紗丸の眼球を見付け、ハッと目を見開いた。

8-3→←8.呪い



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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時

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