【鬼滅の刃】ちゃんと聴かせて (ページ22)

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「(必ず、血を取って見せるっ！少しでも早く薬を完成させるために、どんな鬼とも戦う！戦って勝つ…！)」

炭治郎は真っ先に矢琶羽の方へ飛び出す。
ピンと張られた糸が刃の先と鬼の首を繋ぐのが見える。

「(見えた…！隙の糸!!)」

それもただ一度だけ。
張り詰められた糸はプツリと切れ、炭治郎の足を何かが掬う。

「儂の傍に寄るな！！」

刀は空振り、彼の進路と逆方向へ矢印が進み、木の幹に打ち付けられる。
梢は振ろうとした薙刀を咄嗟に止めた。

「炭治郎!!…ぅあっ…！」

一旦引こうとするも遅く、梢も矢印に足を取られて壁に背中を強打する。
受身を取ろうとしても、次から次へとあちらこちらに飛ばされ、そんな余裕は無い。

空気を震わすように、矢琶羽の掌の眼が絶えず瞬く。

梢は空中で身を翻して矢印から逃げる。

「(当たらないと消えない分厄介だ…炭治郎は……)」

すると、急に術が消える。それと共に、炭治郎は上空へ放り出された。

しかし技を出して衝撃を緩和させ、落下することは避けられた。

「大丈夫？」

「あぁ…っ、何とか！」

彼は横腹が痛むのか、そこを庇いながら立ち上がる。

刃を振るう中で気付いたこと。
矢印は斬れず、振れると太刀諸共飛ばされる。防ぐには逃げるしかない。

言わば、自らの縄張を守る獣の睨み合いだ。