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頭を失った愈史郎の体が、珠世に倒れかかる。
炭治郎は奥歯を噛み締める。
「クソッ!禰豆子、奥で眠っている人を外の安全な場所へ運んでくれ!」
「外は危険です!地下室がありますから、其方へ!」
禰豆子はそれを聞くと部屋の奥へと駆ける。
炭治郎は笑う朱紗丸の方へ刀を向けた。今までとは違う濃く重い鬼の匂いに身構える。
「キャハハハ、一人殺した!ん?耳に花札のような飾りの鬼狩りは…お前じゃのう…?」
「!(俺を狙っているのか…?)」
炭治郎は狙いは自分だと気付くと、珠世たちに下がっているように伝える。
しかし珠世は何か思うような顔をして言う。
「私たちの事は気にせず戦ってください。守って頂かなくて大丈夫です。
鬼ですから__」
彼女の瞳は鬼と言うよりは、強く、芯のある女性のものだった。
「私も加勢するよ」
「!…あぁ、助かる。ありがとう」
はらりと薙刀袋が地面に落ち、梢は自分の背丈より長い薙刀を構える。
朱紗丸は大きく振りかぶる。
「それじゃあ…これで終わりじゃぁぁ!!!」
避けても鞠は曲がり、再び襲ってくる。
炭治郎は刀を斜め後ろに引く。
「〈全集中…水の呼吸・漆ノ型 雫波紋突き 曲!!〉」
水面に水滴を落としたように、鞠は刀に刺さる。水の呼吸の拾ある型の中で最速の突き技だ。
しかし、カタカタと鞠は震え出し、やがて抜ける。
梢はすぐさま、薙刀を持ち替えて足に力を込める。
「〈雪の呼吸・弐ノ型 風花〉」
ふわりと宙に舞って、一瞬で炭治郎が突いた鞠への距離を縮めると、薙刀をぐるりと数回転させる。
雪が風に乗るように、粉々になった鞠が飛ばされ消えた。
「(消えた…この鞠は鬼から生み出された物か。攻撃手段は減らせない…)」
柔らかく着地した梢は再び鬼に向かって構えた。
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時