7.手毬鬼と矢印鬼 ページ16
女の鬼が鞠をつく音が響く。
「アハハハ!矢琶羽の言うとおりじゃ!何も無かった場所に建物が現れたぞ!」
「ふむ…巧妙に物を隠す鬼血術が使われていた様だな。そして…」
矢琶羽と言われた鬼が手のひらを向けて、不機嫌そうに顬を動かす。
「鬼狩り二人は鬼と一緒にいるのか…?どういう事じゃ。」
「キャハハハ!楽しいのう」
炭治郎の方へ向けられた手が、ギョロギョロと眼球を動かす。
それは本来ある筈の位置には無かった。
そして今度は鞠の鬼の方へ向ける。
その鬼は、鞠の鬼を朱紗丸と呼んだ。どうやら彼女の立てた砂埃で着物が汚れたと腹を立てている様だ。
「うるさいのう。私の鞠のおかげですぐ見つかったのだから良いだろう?」
朱紗丸は鞠を持った手を振りかぶる。
「たくさん遊べるしのう!!」
壁が崩れ中が丸見えになった建物から、朱紗丸は耳元で揺れる花札を見つけて、愉快そうに笑う。
愈史郎は鬼舞辻の手下だと、彼らを睨む。
朱紗丸はまたもや鞠を投げる。
鞠は建物の中をあちこちへ飛び回って、避けようが無く、五人はただ蹲る。
しかし跳んでいた鞠が珠世目掛けて向かって来た。
「珠世様っ!!!」
グチャッという肉と血液が潰れる音が炭治郎を青ざめさせた。
鬼とは言えども、首が飛んでいけば彼の反応は最もだ。
「愈史郎さん!!」
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時