【鬼滅の刃】ちゃんと聴かせて (ページ12)

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「…これで納得したか阿婆擦れ。鬼狩りなら殺気ぐらい隠せ。そのままだとすぐ殺されるだろうな。」

「あばっ…！？」

ずっと黙って様子を伺っていた梢に、愈史郎が切り込む。
炭治郎は彼の言葉遣いに驚いて声を上げる。

「愈史郎！女性に対して何て事を言うの！謝りなさい!!」

「…いえ、此方こそすみません。貴女方の事を疑る様な目で見て。」

愈史郎を叱った珠世は、仕方の無い事だと梢を宥める。炭治郎は何処か心配そうな顔をして、彼女の横顔を見た。

「知恵をつけた獣は、時に人の言葉で人を欺きます。そうやって死んだ者達を、いくらか見てきました。」

「梢、珠世さんと愈史郎さんは…」

「分かってるよ。今の話で合点がいったし。
人も、"鬼になった人"も。等しく助けた所、人の猿真似をしてる訳では無いんだろう。」

「！」

炭治郎はピクリと眉を動かす。
梢の言葉が、初めに出会った時の態度とはかけ離れていたからだ。

梢は「これじゃあ…」と続ける。

「どちらが人か鬼か、分からないね」

ボソッと呟かれた言葉を炭治郎は噛み砕く。
どちらか、とは珠世や愈史郎、鬼にされた男性と、梢の事を指しているのだろう。

彼女には彼女なりの考えがあるだけで、やはり悪い人では無いのだ。
でも、と炭治郎は考える。

「(口調が冷たいなぁ…)」

それを知る由もない梢は、話の続きを珠世に頼んだ。