春の病 3 (ページ44)

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透きとおる微睡の光さす書架ページ44

あれ、これやばいのでは？
　
　それが、今日一日の仕事を終えて家へと帰る車内で私がふと、思ったことである。

　付き合い出してから1週間後に北斗くんの家に突撃したことに始まり、彼に甘えてばっかりでは？
　理由も言えないのに甘やかして貰ったり、誕生日をサプライズで祝ってもらったり、相手が私の体を気遣って我慢してくれているのにわがままを言ったり、どうしようもないモヤモヤを慰めて貰ったりと、とにかく酷い。甘やかされすぎだ。

　せいぜい先輩風ーーというか包容力？大人の女性らしさ？を発揮できたのは日本アカデミー賞の会場だけで、それは仕事である。プライベートではない。

　北斗くんは甘えたいらしい。これは間違いない。雑誌の取材を見るにーーりーちゃんにお願いして過去に遡って北斗くんの恋愛観についての取材内容を集めて貰ったーー彼は口々に公言している。
　もちろん、それら全てが嘘である可能性もあるかもしれないがーーそれは私の情熱大陸を見た時の反応からしてありえないーーと思う。

　北斗くんは甘えたいのだ。そして私は甘えられるほどしっかりしていない。これは由々しき事態だ。
　幸いと言うべきか、しっかりしている大人の女性ーーりーちゃんというこの上ない手本が、身近にいた。

　そうと決まればやることは決まっている。共有しているスケジュールアプリをチェックした後、マネージャーさんに行先の変更をお願いした。
　

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