ライトスタンド (ページ5)

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小林さんが少し屈んで目線を合わせてくるから、恥ずかしくて咄嗟に下を向く

それに、顔の距離がすごく近いし...

「照れてる。」

『照れてないですよ！！』

意地になって顔を上げたら予想以上に至近距離で小林さんと目が合って、

顔の温度が上がっていくのが分かった

「 ...可愛い」

可愛いなんてお世辞、もしかしたら幻聴かも

なんて考えてたら小林さんの手が顔に伸びてきて、頬を触れられたから余計に温度が上がる

... ダメだ、心臓に悪い

「じゃあ、また明日。」

『あっ、はい、お疲れ様でした。』

小林さんは何事も無かったかのようにそのまま鍵を返しに行ってしまった

さっき小林さんに触れられたほっぺを触ってみたら未だに熱かった

･･･小林さん、カッコイイなぁ。

『そうだ、哲人』

哲人、先に帰っちゃったかな

もういいや哲人なんか知らない！！

諦めて1人で帰ろうと学校を出ようとしたら微かにバッティングをしてる音が聞こえてきた

音がする方に近づいてみると、哲人が1人で打撃練習をしてるのが見えた

『 ..... 』

きっと同じポジションの先輩から遠回しに打てないくせにレギュラーって言われて哲人も気にしてる

哲人は実力でポジションを勝ち取ったのにそんな言い方無いよって思っても当然何も言えなかった

一人黙々と打撃練習をしてる姿を離れたところから眺めてたら胸が苦しくなる

哲人が今どんな気持ちでバットを振ってるか考えたら心が痛い

この場を離れられなくて哲人からは死角にある近くのベンチに座って待ってることにした

それから１時間ちょっとの間、約500球近く打った哲人はバッティング場から出てきた

「あれ、A？」

私がいたことに少しビックリしてて、でも哲人は笑ってなくて

いつもはバカなことばっかり言ってるけど、それでも1年にしてセカンドを勝ち取れたのは努力して来たから

誰も知らないところで誰よりも努力しててそれを知らないであんな事を言った先輩に心底腹が立った

『哲人、』

今にも泣きそうな顔の哲人を見たら、こっちまで悲しくて悔しくなって

気づいたら消えてしまいそうな哲人を抱きしめてた

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