―ＨＡＮＤ―１▼０２ (ページ6)

今日:17 hit、昨日:2 hit、合計:102,209 hit

052 ページ6

.
今市らに言ったようにAにも同じことを言うHIRO。

そして、部屋に入ってきた時からであろう笑顔だった表情を一瞬にして変え、仕事モードの真剣な眼差しをAに向けた。

それに気づいたAも、どこか緊張した趣で彼をみつめた。

HIRO「まあそれは置いておいて。話の続きをしようか、迷子の子猫ちゃん？」

『…迷子になってない』

HIRO「そうはぐらかそうとするな、逃げることは許されないぞ。Aは何事にも逃げない奴だろ？正々堂々と正面向いて胸張って向かってく奴だろ？」

もちろん本当の事なのだが、それを口に出して言うことで彼女に自分が向き合う力を持っていることを気づかせようとするHIRO。それと、そう言えば負けず嫌いなAは、簡単に乗ってくる事を知っている。

『……じゃあ場所変えましょう』

そう言い、ベットの上にあった足をブラーンと横にずらし降りようとした。

HIRO「いや、その必要はないよ。ボーカル2人には時期伝わることだから、」

「「え？」」

二つの声と言葉が重なった。その主は今市とA。歌声だけではなく地声でも綺麗だと感じるハモリだった。

HIRO「ハハ！仲が良いな、」

((仲良くないし…ッ！))

不意に登坂の方へと振り向き彼に問う。

HIRO「このコンビいいと思うか？登坂、」

登坂「んーまあ、俺よりかはあんまりっすけど」

HIRO「そこは譲らないねお前も。」

登坂「そりゃあ、まあ…」

HIRO「物好きだよお前らは笑」

何の話？まったくと言っていいほど内容に付いていけず、また仲良く疑問符を浮かべる今市とA。

HIRO「あ、ごめん。単刀直入に言うと…

今回のアルバムにAに作詞作曲してもらう。もちろん君のソロ曲だ。」

『はい』

HIRO「…驚かないのかい？ソロ活動が始まるかも知れないというのに、」

自分の言葉に動じることもなく静かにそう答えたA。彼の言った通り、三代目となりまだ2年という月日で早くもソロデビューが始まるかもしれないというのに、彼女の表情には不安の要素も見つからない。

『どんな事でもしっかりと受け止め、最後までやり抜く覚悟をしてましたから、それにヒロさんに与えられた事を無責任に放り出すことはできない。』

HIRO「…そうか、」

『取り掛かりはいつからですか？』

HIRO「そうだな、早いところ始めたい。」

『じゃあ明日から』

彼女の頼もしい言葉にHIROは眉を八の字にし困苦笑いを零した。
.