―ＨＡＮＤ―１▼０２ (ページ5)

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登坂「この事を隆二だけに話そうか悩んだけど、人の過去事情を話す事に躊躇ったんだ。」

今市「いいよ、俺そんなこと気にしねえから」

登坂「…ありがと。」

今市「そんなことより…あっ、」

彼女の過去について登坂から聞き出そうとしたタイミングで、何か室内に入ってきた気配を感じた。

視線を登坂からドア付近へと向けると、

そこには

HIRO「お疲れさん。…Aいるよね？」

屈託の無い笑顔を浮かべたHIROが立っていた。

今市「あ、はい。そこに…」

突然の予想だにしない人物の登場に戸惑いを隠しきれない今市。それだけではない、今の話を聞かれていたかもしれないという焦りも混じっていた。

HIRO「さっきココのスタッフさんに会ってね、訪ねてみたらアタフタした様子だったからまさかと思って来てみたら」

こんな所に隠れてたんだなそう言ってゆっくりAが眠っているベットへと歩み寄る。

登坂「スタッフさんも血相変えて走り回ってましたよ」

HIRO「ハハ、まあ慣れた会場で迷子だなんて聞いたら焦るよ」

登坂も先ほどの会話を気にしてか、話題を作りHIROに話しかけた。もしこの人に会話の内容を突かれてしまった時どう返せばいいのかわからないからだ。

HIROは気にしていない様子で登坂の話題に乗っかかり話を弾ませたので、今市はホッとした。

今市(臣ありがとっ…！)

登坂「Aとヒロさんからしたら隠れんぼでしたね」

HIRO「こんないい歳した大人がね。懐かしいなあ、笑」

登坂「あ、爆睡してますよ」

HIRO「ん～、まあ起こすよ」

スタッフは一度爆睡すると明日の朝まで起きる事がないと言っていたが、HIROはどうするというのか。

HIRO「A～、ゆで卵と寿司持ってきたよ？食べる？」

『…んん、…食べる。』

HIRO「おはよ、鈴原くん」

『何処にあるんですか、ゆで卵』

HIRO「ないよ、A 俺から逃げたでしょ？」

『…えっ？…ヒ、ロさん？』

目をゴシゴシとしながら起き上がり、ベット横に中腰になっているHIROをみてパチパチと目を開閉した。

そして辺りをキョロキョロと見渡し、今市と登坂をみて何か納得したような表情を浮かべた。

『なんだ、そう言う事か…』

HIRO「今市や登坂からじゃないぞ？Aの大好きな豆ちゃんからだけどね。」

『あ、豆ちゃん…』

HIRO「直接豆ちゃんから聞いた訳じゃないんだけど、A知ってるか？って聞いたらアタフタしだしたからまさかと思ってね」

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