―ＨＡＮＤ―１▼０２ (ページ34)

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その後ロケは進み、途中参加したあさこに自動的に地獄行きだと知らせると、案の定号泣しスタッフにしがみついていた。

天国組の３人には豪華なディナーショーが与えらた。

彼女たちが優雅な時を過ごしているその間、A含む地獄メンバーは、比べ物にならないほどの夕食を軽くとり、行き先の知らない車へと乗せられた。

車内では、誰も一言も話そうとはせず本当に地獄に向かっているかのような雰囲気を漂わせていた。

『(ああ、もう無理だ。私日本に生きて帰れないかも)』

天を仰ぐように手を握り締めて、どうか生きて帰れますようにと祈るA。

そんな彼女の画は勿論フレームに抑えられていた。

*

スタッフ「足元気をつけて降りてくださいね」

車に乗り10分ほどで着いた場所は、薄く氷が張っている湖がある森林。

息を吐くとハッキリと白くなるほどの温度なのだから、水温はもっと低いのだろう。

こんな所で何をするのか、凍え死にそうな寒さの中何をさせるのかと彼女たちの頭には様々な思いが循環している。

鬼奴「え、誰かいるんだけど」

湖の方を指さしそういった鬼奴。

彼女の指先を辿っていくと、そこにはプカプカと金髪の頭が浮いている。

あさこ「え、やだあイケメン？」

遠目から見て、性別は男頭だけしか出ていなく距離があるので顔はしっかりと見えない。

が、イケメンだと認識した様子のあさこは少なからず少しテンションが上がっている。

そして、その金髪頭が徐々にこちらへと迫ってきている。湖から離れた場所にA達もいたのでこちらからも湖へと近づいていくと、

NIKKY「ハーイ、コンニチワッ」

「「こんにちわー…」」

NIKKY「My name is Nikky ヨロシクネッ」

「「よろしくねー…」」

日本語のイントネーションが独特なハイテンション中年おっさんだった。

スタッフ「最初の地獄はこれですね。今から寒中水泳してもらいます。」

あさこ「何となくさ、わかってたよね。湖の中で泳いでる人がいる時点でさ、？」

鬼奴「死にますよ、私達」

スタッフ「申し訳ないんですけど、飛行機までの時間押してるんで…」

そう言ったわりには申し訳なさそうに思っていないような素振りで、着替えを支持するスタッフ。

『(早く日本に帰りたい)……早く終わらせましょう』

この話を持ちかけられた時は、天に昇る気持ちだったが、既に日本に帰りたいAであった。