―ＨＡＮＤ―１▼０２ (ページ27)

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HIRO「歌詞について何の指導も受けていない君がここまでの事を言葉に出来たことは、素晴らしいよ。だけど、世間に出たときの評価や反応がこの歌詞の出来栄えとなる。俺は、それがとても楽しみだよ。」

『私もです』

HIRO「作曲はどうする？出来るか？」

『やらせてください。』

HIRO「そうか、じゃあ明日から始めることにして。君にはもう一つ言わなくてはいけない事がある。」

これには、AだけではなくATSUSHIも疑問符を頭に浮かべた。

HIRO「あるテレビ番組にA1人で出てもらう。つまり、オファーが君に来たんだよ。」

『…え、』

HIRO「Aが好きな番組'' 世界の果てまでイッテＱ'' からだ。」

世界の果てまでイッテＱと言う言葉に彼女は目を真ん丸にさせ輝かせた。
Aはテレビゲームは勿論のテレビっ子で、体を張ったロケ番組の世界の果てまでイッテＱは彼女のお気に入り番組で毎回録画するほどだった。

『わ、私っ…、出たい…っ！』

HIRO「そう言うと思って、もうOKしておいたよ。ちなみに温泉同好会に出演してほしいそうだ。」

『わ、わあっ…』

番組内の企画で、女芸人が海外へロケにいきそこで様々なことに体を張って挑戦をする、といった内容だ。

今の彼女は、幼い子のような明るい笑顔で無邪気に喜んでいる。

HIRO「作詞作曲活動が終わってすぐにロケがある、３日間パリらへんに行くそうだ。」

『はいっ…、』

ATSUSHI「っと、その前に…作曲がある事を忘れるな。君の本職は何か分かっているな？君が今しなくちゃいけないことは？」

『あ、作曲…っです！』

ATSUSHI「ん、まあ…そうだね、」

『ふふ、あっ、龍友くんに言ってもいいですか？』

HIRO「うん、いいよ。」

『むふふ、』

笑みを抑えきれず、笑い声が漏れている。
先ほどの彼女はどこに行ったのやら、浮ついた様子に移り変わり彼女の頭には作曲のことはチラついていないのだろう。

ATSUSHI「ああ、この調子じゃ分かってないな…」

ATSUSHIは彼女のこんな様子に頭を抱えた。

HIRO「まあ、ずっと出たいって言っていたしさ？それより心配なのは、この激し過ぎる人見知りだ。ロケまでに人見知りをどう治しておこうか、」

ATSUSHI「Aの人見知りは度が過ぎてますからね、……」

キャッキャとはしゃぎながら、スマホをいじるAに視線を寄せ彼らは声を揃えてこう言った。

「「無理だな」」

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