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思い返せばその原点は、あの日だ。
三ヶ月前、ツアー初日の前日 喘息になったAを登坂が率先して彼女を担ぎステージを去っていった日。
中々帰ってこないな、と思っていた頃マネージャーから 今日は2人ともホテルに帰る と聞き、そこにいた誰もが驚いた表情を浮かべていた。Aはまだしも、登坂まで帰ると言い出したのだから。
残されたメンバーでリハを再開したが、その間も彼らは心の片隅で2人の関係性についてモヤっとしていただろう。
あの日2人に何があったのかは、誰も知らない。
次の日には、Aも回復している様子でスタッフやメンバー、関係者一人一人に頭を下げて回っていた。登坂も何事も無かったかのように、メンバーと和気あいあいとしていた。
その後も順調にツアーは進み、2人の間に何かがあるとも思える素振りもなかったため まさかと怪しんでいたメンバーも気にする事もなかった。いや、小さな異変に気づいていなかった。
だが、今市は登坂の小さな異変にすぐに気づいた。メンバーで誰よりも一緒にいる時間が長い相手なのだから小さなことでも気づかない訳がない。
だが、自分がそう感じているだけで 本当は何もなかったのではないか、とそんな気がして聞くのを躊躇っていたのだ。
彼女が喘息持ちということをメンバーで唯一知っていた事、それも慣れた言動だった事、そして彼女と一緒にその日は帰っていってしまった事。
この三ヶ月間、答えを知ることなく疑問と共に過ごしてきた。
色々と登坂に聞きたい事が自分の頭の中でグルグルと循環していて、実は頭の中はパンク寸前状態だったのだ。
(今がそのタイミングだよな…)
そしてツアーも終わり、聞くことで変な空気になる事もない。絶好の時だ。
今市「お、臣…！」
登坂「ん？」
隣を見れば、もうマッサージが終わったのかベットの横に立ち ん〜と背伸びをしていた。
今市「あのさ、…ん〜、っと」
いざ聞き出そうとすると、どこから聞けばいいかわからず言葉が詰まる。
そんな今市を優しい眼差しで見つめる登坂。
登坂「ふっ、なに？笑」
今市「(笑うなよッ！ああ、もお 言っちゃえ！)Aと何かあるの？！」
登坂「…あるって言えば あるかな。」
今市の勇気を振り絞った単刀直入すぎる言葉に上がっていた口角が下がり、真剣な表情に変わった。そして今市の隣のベットで眠っているAを見て心なしか小さな声でそう言った。
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作者名：宇宙人Ｐ | 作成日時：2015年2月2日 22時
