―ＨＡＮＤ―１▼０２ (ページ19)

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『…どうでしょうか、』

Aは軽く微笑み、誤魔化した。

自分の気持ちに気づいていない振りをするために。

コンコン

店員「ご注文の品が出来ましたので、お運びします。」

横からの鋭い視線と何か言いたそうな雰囲気の登坂の注文品もきたらしく、渋々とそれを受け取っている。

『…わー、美味しそう。』

目の前に置かれた、おでんと唐揚げに喉を上下に揺らしたA。

店員「ごゆっくり」

食べ物に釘付けになっているAをみてふふと笑みを漏らして静かに麩を閉めた。

当の名前は、手を合わせいただきますと言い箸を持ち迷うことなくおでんの卵に手をつけた。

『……おいひぃ』

ELLY「……あ、のさ食べている最中にごめんね」

『あ、はい。(まだ話は終わってなかったのか)』

半分に切った卵と箸をお皿に置き、両手を膝へと戻した。

ELLY「これで最後にするから、二択で聞くよ。

Aは、俺らの事好き？嫌い？」

『え、それは…』

ELLY「好きか嫌いかで答えてほしい」

『……私も、私からも質問してもいいですか？』

ELLY「あ、ううん。」

ELLYの質問に対して答える前に、ここに来た時から湧いていた疑問を彼らに答えてもらいたい。

Aはそう思った。

『ELLYさん達は、どうしたいんですか？私に質問して、私の思いを知ってどうしたいんですか？

…ELLYさんは他のメンバーと何も変わりません。もちろん登坂さんもです。

もし、私と他のメンバーを繋げようとしているのならば、それはとても意味のない事をしています。』

ELLY「…っ！」

何の躊躇もなく毒つきの針を彼女は言葉に忍ばせた。

『…決して交わることのない平行線上に私達はいる事を忘れないでください。

そして、そうなってしまった事に今更気づかないでください。私のこの2年間の思いを知って同情しているのなら、尚更です。

私は、…っ…独りに慣れたから…っ、寂しくも、辛くもなか、った…。』

ーー本当は独りなんて嫌だよ、いつも賑やかな輪に入ることができず、ただそれを蚊帳の外から眺めているだけですごく寂しかった辛かった。私もあの輪に入りたい何度そう思ったか。

素直にこれを言えていたら、こんなにも涙を流さずに済んだのか。

こんなにも、惨めな気持ちにならなくても済んだのか。

幸せを掴むことは、夢を掴むことよりも難しい事をこの2年間で知った。

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