【文スト】公園に佇む番外編さん【中原中也】

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「まあでも本当にあの重力使いの中原中也に彼女がいるなんてね。色恋に興味がある感じはしなかったけどねえ」

「ポートマフィアに恋人……」

与謝野さんは面白そうに微笑む。

そして国木田さんは何やら自身の手帳を眺めながら頭を抱えていた。

そこでずっと口の中に棒付きのキャンディを含み、片肘を机についてこちらを眺めていた探偵であると紹介された乱歩さんが口を開く。

「でも素敵帽子君はこれまでに何十人と人を殺してきた犯罪者だ」

その一言で探偵社の中はしんと静まる。

「……確かに、中也くんはポートマフィアに入ってそういうお仕事をしているのは知っているし、指の隙間から見た事もあります」

乱歩さんと向き合って伝える。

「恋人はマフィアです、なんて言える訳無いし私から縁を勝手に切った友人なども沢山います」

仕事の同僚なども今や関わりは無くなってしまった。

「だけどそれで中也くんの事を嫌いになったり別れたりする理由にはならないし、後悔もしていない。彼の事が純粋に好きで愛してるから一緒にいるんです」

たとえ彼が黒く、光の世界とは真逆の方だとしても、中也くんだから。


私のその言葉が終わるとうーん、と考え込む乱歩さん。


「恋は盲目ねぇ……」とボソリと呟かれた。

「まあ君がそれで良いなら良いんじゃ無い？僕には関係ない事だ」

そう言って、くるりと椅子を回して背中を向けられた。

「中也の何処がいいのか私にはまったく理解できないよ」

うへぇといった顔で治くんは告げた。

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