【文スト】公園に佇む羊さん【中原中也】

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今日は天気予報を見ていなかったからなぁと会社の入り口でぼんやり雨を眺めた。

まあでも傘持ってるし、と鞄の中から折り畳み傘を取り出して差した。




しとしとと雨が降るなか、微かに銃声が聞こえた。


聞こえた方向を見ると長くて細い、暗闇に覆われた道があった。

今もまだ喧嘩してるような声が聞こえて居る。

私は何を思ったのか足は細い道にどんどん進み、突き当たりに近くなると声がよく聞こえるようになってきた。

そろりと声の主を見てみると、そこには長く会わなくなった中也くんと、もう1人包帯が印象的な男の姿があり、その手には銃を持っていた。

そして、2人の足下には血溜まりの中にある死体。



「……中也くん？」

ボソリと思わず彼の名を言ってしまい、2人には声が聞こえたらしく同時に振り返った。

「っあ……。A……？」

彼はなんでと言いたげに顔が青ざめ、目を泳がせる。

そこでやっと彼の服装が公園で会っていた時とはまったく違う身なりをしていて、帽子を被っている事に気付いた。

「……悪い太宰。先に帰る」

もう1人の男にそう告げると、中也くんは私の横を通り過ぎて帰ろうとした。

「中也くん待って！」

ここで彼を逃せばもう二度と会えない気がして、私は彼の背中を急いで追いかけた。




傘は手から滑り落ち、道に転がっていたことに私はもう気づいてなかった。

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