【文スト】公園に佇む羊さん【中原中也】

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家に連れてきたあの日からずっと中也くんを見かけることのないまま何日もたった。

ここまで長く会わないと寂しくなるもので、毎日帰りは公園のベンチを必ず見て、彼がいないか確認してしまう。

私の仕事終わりの楽しみになっていたものだから、最近は仕事が終わってもつまんない日々が続く。

「どうしたの？なんか悩んでる？」

「うーん。最近ちょっと仲良くなれた人がいたんだけど、会わなくなったんだよねぇ」

ちなみに今私は職場にいるもので、机に項垂れてると隣の椅子に座った同僚が声をかける。

「それ男？」

「そうだね」

「え、それって恋愛の悩み？A好きな人とかいたの？初耳なんだけど」

恋愛……？

「恋愛、なのかな。よくわかんない」

「例えばその人と女の人が仲良くしてたらどう思う？」

中也くんと、女の人……っていうか女の子？

仲良く……。

ぽやんと浮かんだのは隣に並んで道を歩いてる彼と、彼と同じくらいの歳の女の子。

「……仲が良いなぁって思う」

「うーん。キスしてるのは？」

「……それはちょっと嫌かもしれない」

想像でしかないが。

「じゃあ好きじゃん」

と断言した彼女はテンション上がる〜と何故だかワクワクしているが、ええ……。これが恋なのか？

今まで縁の無いものだった為よく分からないが、確かにストンとなにか荷が軽くなった気がした。


そっか。好きなのか……。

好き…………。


………。

……でも相手は15だよね。

え？世間的に大丈夫じゃないよねこれ。

世間的には彼は中学生とかのあたりだよね。

いやでも……ううん。

え、私捕まらない……？


「その人と会えたら私にも紹介してよ」

「え、あ。うん。会えたらね……」


ごめん。

会えても紹介するのは多分無理。

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