天界からの救世主＿＿＿異色な孤独龍の追憶【あとがき】

不安に、化けて ページ21

『…まあ、オラシオンの未完成は回収したし、特に行く用事はないからいいが、…本当に忘れていることは無いよな？』


行けなくなったと気付いてから、不安になるものだ。どうやったっていく手段は完全に途絶えてしまったのだから。
一応それらしい場所を瓦礫をよけながら歩いたものの、案の定の結果だ。
しゃがみ、地面を眺めながら深〜くため息を吐く。


『情報がほしい…』

【「今回は見送りましょう。焦らなくてもきっとまたいい機会が訪れると思いますよ、天界長様」】

『……、幻聴か』

【「…はい、まあ…幻聴で片付けてもよろしいですが…」】


背後からなんだか聞き覚えのある声が聞こえてきた。聞き馴染みはないが、正確に言うならば最近初めて聞いた声…。
いや、あいつは死んでいるようだし、声がすることは無い…と思っていたんだが…。

Aは恐怖心を持つことも警戒することもなく背後を振り向く。
誰もいないはずだったが、なんだか少々光を帯びている人影が…。


『…こういうのって大体足が透けているってのが定義だと思っていたが、その逆はあんまり見たことないな…』

【「はは、十人十色でしょう？」】

『使い方あってるか？それ』


幽霊にも十人十色と言葉を作ってきた彼は皆さん覚えているだろう、元亜央の元バディである名称不明の天界本部先陣者である。
なんで化けて出て来てんだ。こいつ。

己、消えてくれ→←一度きり、正解

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