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羅衣の追憶、完結 ページ50

『まあ今考えてもしょうがない。厭界軍部は壊滅そこできなかったが、崩落は出来た。俺たちが望む戦利品も手に入ったし、…これから零は部下を育ててくれるらしいし。上出来だと思うが吉だな』

零「…そうですね。終わった事、手が届かない事はまたの機会に悩みましょう。天界長、本当にお疲れ様でした」


零とAは互いに顔を合わせにっこりと笑った。


『今夜は部下も呼んで羅衣の就任パーティをしよう。ぱーーっと酒でも飲んでな!!』

零「ほどほどに。明日も仕事です」

『硬ェ…』


それでもAが零に食事の用意と伝令を頼み、仕事部屋から退出させた。
1人になったAは引き出しから先陣者の報告書などの書類を手に取った。


『…悪く思うなよ。お前も、どんな手を使ってでもコッチに引き入れたいと言っただろう。まさかこんな風になるとは思ってもいなかったが…』


あれだけ身を寄せていた元相棒に忘れられた先陣者を知っているのはどこかに消えた天下さまと、零と己だけだろう。…ああ、地下牢にいる奴らも始末しなきゃな。




Aは先陣者についての書類を手に取ると、フッと息を吹きかけた。瞬間、紙が勢い良く燃え上がる。
存在をできれば遺さないように消すのが通。万が一存在が羅衣にバレたとなれば混乱と反感を買うだろうから。

だが、Aは何故か、すべてを消すことが出来なかった。手元に残った手帳。
Aは杖を手に取ると青い装飾を近づけた。途端に手帳が光の粒と化して青い球体の中へと吸い込まれて行った。これで、Aが意図的に杖の中から出さなければ誰もこの手帳の居所を知ることは無いだろう。





『…さて、俺も行くかな』


これからの、羅衣…のみならず、天界本部大きな発展を願って。
Aは小さく結ってある髪を揺らしながら、執務室を後にした。







『準備は進んだか〜?』

零「あなたも手伝ってください!!言い出しっぺ!」

『…どう思う?あれが上司に対する態度だぜ?』

羅「…すごいな」

「天界長!お疲れ様でした!」

「飲みましょう!音頭を頂戴したいのですが!」


部下の陽気な言葉に思わず笑いが溢れたAは笑顔でグラスを高く掲げた。


『それでは…


我々の大勝利と、今後の天界の発展を祝福して!!』





「「「『乾杯!!!』」」」







【「ふふ、羅衣楽しそうだなぁ…これからの未来が楽しみだ」】


…会場のどこかで、そんな声が聞こえたそうな。


―――羅衣の追憶完結

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作者名:リートゥ | 作成日時:2023年12月15日 17時

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