天界からの救世主35＿＿＿異色な孤独龍の追憶【オリジナル】【過去編】 (ページ46)

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鏡、本格的にページ46

洗面所で顔を洗い、鏡に映った己の姿を見た。その時、

『…？、、っ！！』

自分の後ろに誰かがいたような影を一瞬捉え、素晴らしい反射神経で背後を見るが、誰もいない。
そりゃあそうだ。気配はないし、第一ここに入れるのは一部の限られた役職のみ。そもそもここは天界長の執務室ではなく、自室である。人が入ってい来ないのも不思議ではない。

ゆえに

『…気のせいか…』

椅子で寝ていたんだ。疲れが変に溜まっていると言われても頷ける。見間違いだろう、と化粧水をつけ、軽く髪を櫛で解き、服を着替えた。
身だしなみをチェックした後に誰もいない部屋に行ってきます、と言って出たAはあくびをしながら廊下を歩きだす。

『…亜央はどうなっているだろうか。零と相棒になってくれないと困るんだが…』

亜「構わない」

『え？』

零「は？」

――――零によってAの執務室に通された亜央は、Aより一足先に、部屋に入り、零の用意したコーヒーを飲んでいた。
零は茶を出したという事でお役目は今のところないために、床に散乱している荷物やらを勝手に片づけ出している。

零「……」

その手を止めずに零はちらりとコーヒーを啜っている亜央の方に視線を向けた。
どうにも、昨日と今日と違和感がある。というのも妙に素直というか…

『待たせたな』

零「待ってましたよ。で、天界長。この書類の期限過ぎてるんですが」

『細けぇよ。それはもう既に違う書類に書きだして提出してある。それは仕事用じゃなくて裏紙用だ』

零「裏紙に書類だった紙を使うな！！」

亜「(騒がしい仕事場だな)」

亜央はぎゃいぎゃい騒ぐ零達を横目に、コーヒーを啜る。なんだが昨日より気分が晴れやかで、心が重くないそんな感覚。まるで何か重い何かを忘れてきてしまったのかと思う程に。

咳払いをして椅子に座ったAと、亜央の横に座った零。どうやら、本格的に話が始まるようだ。