サンプル、持てる分だけ ページ34
Aは亜央に先陣者の手帳を渡すと立ち上がり零が本棚から引き抜いた重要資料の一部を搔っ攫っていき、あろうことか窓枠に足をかける。
『気になることがあって』と外へ飛び降りた。ぎょっとして下を見るとこちらを見上げて手を振っている。
『これのサンプルが取りたくてな』
そういうAの前には…草…?
近付いて採取、小瓶に入れるとしっかりと密封した。零は近くによると興味津々に手元を見つけている。
『…亜央!!この先を案内できるだろう』
亜「…いや、悪いが俺はこんな空間知らない」
『…知らない?』
亜「そもそもここに来る時通った廊下も、あいつの部屋の外に広がるこの草原も見たことが無い。そもそもアンタはここに来たことがあるんdな路?態々俺に案内させなくても…」
『…そうか(…てっきり俺は先陣者が普段からこの空間を作っておいたと思っていたが、違うのか。じゃあこの一階にある亜央の自室を視たら驚くんだろう。)』
…亜央が普段から使っていた部屋がここにあった、だけどこの空間を知らない。どういうことだ。裏世界の亜央の部屋は表世界にある亜央の部屋とは別なのか?)』
その後Aが亜央を連れて先ほどと同じように窓から中に入ると亜央がとても驚いた表情をしていた。「どうして自分の部屋がこんなところにあるのだ」と。
反応を見るに本当に知らない様だし、ここは亜央の自室だと決定してもよさそうだ。
『(…そういや、亜央は先陣者の自室に言った事があるって手帳に書いてあったな…その時は普通の部屋だったのか?…処刑される前出し、存在していただろうが、その部屋は今いったいどこへ…。いやそもそもこの裏世界はいつできたものなのか…)』
零「天界長?」
『あ?いやなんでもない…考えることが多すぎる』
Aは部屋の中を徘徊している亜央を見た。とても懐かしいのだろう。自分の本棚や布団、横に掛けてある武器を触っては目をしきりにキラキラさせている。
『ここには多分もう来ないから必要なものは持ち帰れよ』
亜「いいのか!?」
『…持てる分だけ持つんだぞ』
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作者名:リートゥ | 作成日時:2023年12月15日 17時