天界からの救世主35＿＿＿異色な孤独龍の追憶【オリジナル】【過去編】 (ページ33)

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泣いてら、横にページ33

「＿＿＿＿彼は、己の大切なバディで、理解者で、そして己が、どうしても、どんな手段をもってしても、闇から、此処から！救い出したい人物です。

例え、命を懸けても。」

『……』

亜「……ぐずっ、ずびっ」

零「(泣いてら)」

Aは自分が読み終えたページまで捲り終えた。最初の先陣者の亜央への印象が書かれたところは顔を顰めていたりしたが、この日記に書かれている亜央への言葉はほ殆ど優しくて、温かい言葉だった李、心配をするような言葉だったりと悪印象なものはなかった。

最後になるにつれて亜央をどうにかして天界本部へと連れていきたい、引き抜きたい、という意思が強く感じられ、それは「自身の命を懸けてまでも」と大きく膨らんだほど。

ここまで想われていた亜央はそこまで読んだ時点で涙が止まらなかった。
何故って、ここまで想われているなんて知らなかったし、それ以上に彼はもう既にこの世にはいないのだから。

亜「俺にこれ見せて何がしてぇんだよ…」

『お前を思う奴は、天界本部にどうしても引き入れたいっていう考えを持っていたって知るべきだと思ったからな。先陣者(こいつ)はお前が天界に合うような素質を持っているって見抜いたのは紛れもない事実だ。勿論俺は既にお前を天界本部に仮所属させている状態。このまま本腰を入れて移籍をさせる。なにがあってもな。

今回の戦争で得たものは多い。お前は悪く言って戦利品。本当はこんなはずではなかったんだが仕方ない』

零「…そういえば厭界軍部の残党はいるんですか？」

零が戦争というワードで思いだしたようにAに問うた。
今回の戦争、零は自分の知らぬうちに終わっていたため、戦況の全体を知らない。

『……残党、ね。

＿＿まあ戦場にいた奴らは全員殺した。捕縛者数人。相手も戦う敵が天界本部だと知っていたから戦力の出し惜しみはしていないと考えて、零れた雑魚はいないだろうと踏んでいる。

…だが唯一姿すらもみなかった「天下さま」はどこかしらで元気だろう』

天下さま。

情報もほぼなく、姿すらも見ない言葉だけの存在。気になって仕方がない。だが居場所が分からない以上追うこともできない。
Aは亜央に視線をそっとやったが大きく首を横に振られた。