超頭脳派の2人から求婚なんて聞いてません！【文スト】

ななつめ ページ8

「で。どういうことかな、ドストエフスキー？」

「何がですか」

「いや、私のAちゃんと何処に行っていたのかなあ…と。」

先ほどまでは緩衝材のAが側にいたから止めどなく溢れていく感情を押し殺'していた2人。

だが、周りに人が居ないとなると話は違う。

お互いの想い人＿＿＿もとい、Aについて。
目と目を合わせて話をする。

「別に貴方のものではありません。
　そして未だぼくのものでもありません」

「じゃあ、先に私のものにする。と云うか、してみせる」

「貴方がぼくに勝てるとは思いません」

彼等はきっと、他の誰よりも彼女のことを一途に想い、
常日頃から彼女のことを考えているのだろう。

そしてその頭脳で、どうすれば彼女が自分を好きになるのかを計算しつくしている。

「いいや？私にもそれなりの作戦があるのだよ」

「それを云うならぼくの方が綿密に作戦を練っています」

彼等が何を考えているのか、常人では判り得ない。
だが、同じ頭脳を持つ2人なら。

きっと互いのことなど見通しているのだろう。

「ところでそのネックレス…
　Aちゃんとお揃いかな？」

「ええ。彼女が迷っていたので。
　どうせならどっちも、と云うことです」

「ふうん」

太宰は探るように目を光らせる。

ドストエフスキーは挑戦的な瞳で太宰のことを見る。

「彼女は渡しません」

「私だって渡さないよ？」

「…もう宜しいですか？」

「良いさ。次は私のターンだ」

そう云い、2人は路地裏から出た。

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