月と愛。 (ページ3)

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｢たまー、どした？眠れない？｣

そう、俺がスタンプを送ると構ってって意味になってる。ミツにはいつだったかそうやってインプットさせた。だから電話が掛かってくるのも分かりきってる。やっぱりこういうのこそ声聞いて伝えたいからね。

｢ううん。今日ね、月が綺麗なんだよ。｣

見てみて、って言う前に｢マジじゃん！｣って返ってきて、その反応に思わず笑みが零れる。
そういうとこも可愛いなぁって思う瞬間のひとつ。

｢なんで俺気付かなかったんだろ。玉がこうやって教えてくれるとはなー。｣

｢なに、意外って？俺だってロマンチックなところあるんだよ。｣

なんて。永瀬から聞いたから知ったんだけどさ。

｢いや意外とは言ってねーけど！でもこれ、二人で見たらもっと綺麗に見えるんじゃない？｣

｢それはたしかに。あーあ、ミツに会いたくなったわ。｣

ミツといちゃつきたい。抱き締めたい。
声を聞くとすぐにそうやって求めてしまう。

｢実は今ちょうど外に出ててさ。｣

｢え、こんな時間に？｣

｢玉と一緒に…ちょっとね、うん。｣

｢なに！何よ、早く言って？｣

｢月見バーガー食いたいなって…買ってきたから、向かってんの。玉ちゃん家。｣

｢えっ！本当に！？｣

俺はミツと月を見たいと思って、ミツは俺と月見バーガーが食べたかったって。ちょっとこれ、笑っちゃうけどすごくない？

夕飯も食べたはずなのに想像したらお腹が鳴っちゃった。

｢うん、だから行っていい？もうすぐで着いちゃうけど。｣

｢もちろん！待ってるね。気を付けて来るんだよー？｣

｢んはは、もう着くって言ってんじゃんか。待ってて。｣

｢うん。…あ、ミツだいすき。｣

｢急に何だよ、……俺も好き。その、さ。ふと会いたくなったのは俺もだから。｣

一気に耳が熱くなってくる。
もしかして月見バーガーは会いたい為の口実？

なんて、会いたい気持ちに理由を付けてまで来てくれるミツにまた愛しさを感じる。

今日は長い夜になりそうだなー。でっかい月と、月見バーガーと。大好きな人と過ごす長い夜。

長い夜にさせてやるんだ。

月と愛。