源氏の兄の旦那様

ぽっきぃ ページ48

sideA

主曰く今日は
ぽっきぃの日らしい

渡されたぽっきぃと
目の前にムスッと座っている髭切

『髭切』

「浮気者...」

名を呼んでもそっぽを向く髭切に俺はこっそりと
ため息をついた

元々、こうなったには訳はある
主から渡されたぽっきぃを食べていた時

鶯丸《俺にもくれ》

と、めんどくさがりの鶯が俺の口からそのまま
受け取ったのが元凶だ

思い切り折ったから接吻はしてない
しかし丁度見てしまった髭切の位置からはな..
...あの鶯は後で締め上げるとして
この嫁をなんとかせねば..

『髭切、機嫌を直せ。何度も言うているが、俺は鶯と接吻するくらいなら舌を噛みきって死ぬ』

「そんなの知らない。じゃあしねばいいじゃない」

ものすごく理不尽だな？

「僕より死を選ぶAなんて嫌いだよ」

もはや何を言っているかわからんぞ

『..俺が好いているのはお前だけだとわかっておるだろう』

「でも実際、彼と接吻してたじゃない...そりゃAとは一番長い付き合い彼とは仲がいいって知ってたけど..」

と言ってぽっきぃを口に含みポリポリ食べる髭切
の視線は俺とは真反対にむいている

『..』

俺は仕方ないと思い立ち上がり、机を挟んだ向こうにいる髭切の元に歩む

『髭切』

「来ないで」

『いい加減に俺も口で諭すのは限界だ。聞き分けのないお前には行動で示さんと駄目らしいな』

俺は拒絶を示す髭切の腕を掴み畳に押し倒す

「痛っ..」

背中を強く打ったのか、顔を顰めた髭切を無視し
机の上にあったぽっきぃを俺は口に含んだ

『ようやく俺を見たな』

「っ..」

『お前しか眼中にないと思い知らせてやろう』

睨みつけてきた髭切を見下ろし俺はぽっきぃを
しばらく一人で食べる

「何して..」

驚いた顔を見せる髭切に微笑み
残りすうみりも無くなったぽっきぃをその口に
直接入れた

「！」

ビクリと肩を震わせた髭切の唇を無理矢理割り
甘いちょこれいとのついたぽっきぃを転がす

しばらく抵抗をしていた髭切だったが
次第に力が緩まり、自ら接吻を深くしてきた

互いの口内でちょこれいとが溶け
びすけっとの部分ももはや無いに等しくなる

ゆっくり髭切から離れれば
髭切は俺の胸元を掴んでた手をグイと引いた

『うぉ！？』

「これで、僕の機嫌が取れたと思ってる？」

『...』

すぐ近くになる髭切の顔は悪戯に歪んでいる

「まだ、沢山残ってるよ」

『..ふん』

なるほどな

『後で文句言うでないぞ』

スルリと首に回された腕を肯定と捉え
俺はもう一度ぽっきぃを味わった



──ぽっきぃの日も悪くないな

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