源氏の兄の旦那様

仲介者 ページ24

sideA

髭切に張られた頬が痛む
髭切の表情に胸が痛む

『...くそ』

先程の髭切の表情が頭から離れない
あんな顔させるつもりは無かった...あんな事
言うつもりなんて無かったのに..

どうして俺は..何時もこうなのだ
嫉妬に駆られ後先考えずに彼奴を泣かせる


...もう、自分が嫌になる









──────────────────
side髭切

嫌いだよ、Aなんて...大嫌いだ

一期「どうか致しましたか。髭切殿」

「！」

声をかけられて驚くと
粟田口の長男が柔らかい笑を浮かべ立っていた

「...別に、なんでもないよ」

一期「ここでは目立ちます。よろしければ私の部屋で話を聞きますよ」

なんでもないって言ったのに..

一期「...さぁ髭切殿」

彼はどうして..ここまで優しいのだろう
腕を引かれて逆らえずに僕は彼と共に部屋に向かった









────────────────
side一期

なんでもないなど毛頭ない

彼の瞳は微かに濡れていた
目の下は僅かに腫れていた
...泣いていたのだ。髭切殿は

すぐに後を追ったが中々見つからず
ようやく見つけたと思えば..泣いていた

「先程の騒動は私も見ておりました。髭切殿」

髭切「ありゃ...みっともない所を見せてしまったねぇ」

困った様に笑顔を浮かべる髭切殿

「..私でよければ相談に乗りますよ」

髭切「...いや、大丈夫だよ」

「泣く程の事を一人抱えても解決しません」

髭切「...」

「他人の私が首を突っ込むのは違うとは思っております。ですが」

髭切「僕、もう嫌だよ」

それまで黙っていた髭切殿は私の言葉を遮り
唐突に言ってきた

「嫌、とは？」

髭切「Aだよ...もう嫌だ。絶縁する...知らないよ夫婦刀なんて。人間が勝手に決めた事だろう」

...絶縁など出来ない癖に
本当に嫌いなのなら、彼の為に涙など流さない

「本当に？」

髭切「本当に。何時も我儘ばかりで...疲れてたんだ。今回で決心がついたよ」

「...」

そんな事..思ってない癖に...
貴方は気付いていますか？

己の言葉と反比例して、瞳から涙が零れてる事

浮気...？→←夫婦喧嘩再び

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