源氏の兄の旦那様

痴漢は許さぬ ページ15

side髭切

「おや..」

吊り革を見てたら、いきなりAに腰を掴まれ引き寄せられた

何事かと思ったらAが言葉を発する

『貴様いい度胸だな』

「...？」

不思議に思って視線を少し後ろに向けると
僕の腰を掴んでる手とは逆の手で、Aは誰か
の手首を掴んでいた

おやおや..これは所謂痴漢と言う奴かな

『これは俺の妻だ。手出ししたら貴様の首を美酒に浸すぞ。人の子』

「こら」

『んぐっ』

今にもその人の子を殺さんばかりに睨みつけ
低く吐き捨てるAの頬をぺチンと叩く

『！？』

「まだ触られてないんだから、そんなに怒ったりしたら駄目だよ」

『しかし...！』

「彼も、触ろうとしていた訳じゃないかも知れないでしょ？」

ムスッとしてるAに言うが
やっぱり納得出来ないみたい

『...だが』

「だけど何？」

『絶対に触ろうとしていた』

先程までの弱々しい顔とは一転
ギロりと目付きを凄め背後にいるのであろう
人の子を睨みつけた

『そうだろう。人の子...触ろうとしなければ、こちらに右手は来ぬはずだ』

「...」

なるほど、その人の子は僕の右隣にいるのか

男「知らない！言いがかりはよしてくれ！」

『はぁ？巫山戯るな』

後ろからミシミシって音がするんだけど..
心配だなぁ。
人の子の腕が折れないといいんだけど

『此奴に触れようとしたよな？なぁ』

男「いっ...痛っ」

「...A」

背後から男の悲鳴が小さく聞こえる
これ以上は不味いと悟った僕はAの手首を
掴んだ

『！』

「もう止めなさいって言ってるだろう？...僕も怒るよ、A」

『...すまなんだ』

「うん」

しゅんとして謝ったAに微笑み頷く
Aはゆるゆると男の手首から手を離し
そのまま僕の肩に顔を埋めてきた

「...」

『これで触れられたら言え...斬る』

「わかった」

嫉妬深いのか何なのか...僕の旦那様はやっぱり
子供だねぇ









────────
電車内に居た人々は

((何あれ。色々しんどいんですけど..見せつけてる？痴漢nice))

と、心の中で思っていたそうな

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