源氏の兄の旦那様

喧嘩勃発 ページ22

俺は身の危険を察知し部屋を飛び出した

『待て！』

「待てん！」

廊下を走り、他の刀に助けを乞うが
皆Aの表情を見て逃げ出す始末

『待たんか膝丸！素直に謝れば許してやる！』

絶対許してくれない..！

「断る！！」

本丸を駆け回り逃げていた俺だったが
とうとう逃げ場を失ってしまった

『...追い詰めたぞ』

「うっ」

やばい...本当にまずい
じりじりと寄ってくるAからどう逃げようか
考えていた時

俺とAの横から暖簾を潜り兄者が出てきた

髭切「ありゃ...二人で何してるの？」

「兄者ぁぁぁ！」

助かったと思った俺は兄者の背後に素早く逃げる

髭切「えっ...何？」

戸惑う兄者を他所に俺は後ろからAを伺う

『退け』

髭切「えっ、いや..」

『退け髭切！』

髭切「いや、そうしたいのは山々なんだけど...弟が離してくれなくて」

そう言ってチラと俺を見た兄者の表情は困惑だった

髭切「どうしたの膝丸..」

そしてAに聞こえない程度に問うてくる

「俺が兄者から貰っていちごみるくの飴を食べただろう。袋を持っていてくれと頼まれて持っていたらAに勘違いされているのだ..」

髭切「あぁ、なるほど」

「助けてくれ兄者ぁ」

髭切「分かったよ」

兄者は柔らかく微笑むとAに向き直る

髭切「A、膝丸は何も悪くないんだ」

『...何？』

髭切「あの飴は僕が上げたんだよ。湯浴みするから袋を持っててって頼んだだけで、膝丸が勝手に食べた訳じゃ」

『お前まで膝丸を庇うか』

兄者が宥めようとしたがAはそれを遮って
イラついた表情で言った

髭切「は？」

『先程こそこそと話していただろう。俺を庇ってくれとでも言われたか？下らぬ。良いからそこを退け髭切』

口調を強めて言うたAに
今度は兄者が言い返した

髭切「だから、膝丸は悪くないって言っているだろう？さっきはなんでAが怒ってるのか聞いただけだよ」

『証拠がない。退け。邪魔だ』

しかしAは聞く耳を持たなかった

髭切「証拠がないのはAだって同じだろう」

『退けと言うておるだろう！』

とうとう声を荒らげたAに驚く俺だが
兄者は癇に障ったのか再び言い返した

髭切「無実の弟が助けてって言ってるんだ。退ける訳ないじゃないか」

『退け！』

髭切「だいたいなんで僕の言葉を最後まで聞こうとしないのさ！？」

『煩い！良いからさっさと其処を退け！』

髭切「だから退かないって言ってるだろう！」

...あっ、これはやばいかもしれない

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