第233話 綱海条介 ページ34
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「え、でも、ちょっとくらい…」
「わりぃな。興味ねえんだ」
「そ、そうか……」
去っていこうとする少年に、鬼道が顔を上げて言った。
「やらなくて正解だ。ド素人がいきなり俺達のレベルについて来られるわけがないからな」
「………なに？」
少年はピクリと反応して振り返った。
「いくら身体能力が優れていようと、やったことのない人間がすぐにできるほどサッカーは簡単じゃない」
「はっ！さっきの見ただろ！？ちゃんと蹴り返したじゃねえか！」
「一度だけな」
少年は鬼道を睨みつけた。
これは、少年をやる気にさせるための、鬼道の挑発だ。
「よし、決めた！」
少年は案の定、そう叫んだ。
「おい、サッカーやってやるぜ！」
「本当か！？」
「ああ、この俺様に二言はねぇ！」
「歓迎するぜ！！えーっと……名前は？」
少年はニッと明るく笑った。
「俺は綱海。綱海条介だ！」
──────
それから綱海は水着から運動着に着替え、グラウンドに立った。
「さあ、練習再開だ！」
「よし、行くぜ。あそこに蹴り込めば良いんだろ？」
そう言って、綱海がボールを蹴った。
綱海のシュートは、ものすごいパワーだ。円堂がかろうじてボールを弾き返したが、ビリビリと手がしびれているようだった。
「すげぇ…！すごいじゃないか、綱海！」
「へへっ。だろ？」
綱海が自身有りげにそう言った。塔子が綱海の方に歩いてきた。
「自信ありそうじゃん」
「ま、サーフィンに比べりゃサッカーなんて、どうってことねぇよ」
その言葉にカチンと来たように、塔子は綱海を睨みつけた。
「サッカーだってそんなに甘くないよ！！」
「どうだかなぁ」
塔子が去っていく綱海をじっと睨みつけていると、リカが塔子のほうに寄ってきた。
「なにそんなに見つめてんの？」
リカが塔子の視線の先にいる綱海に気がつくと、にやっと笑った。
「ふ〜ん、やっぱりな〜」
「は？なに？」
「ええってええって〜！」
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
