第231話 バタフライドリーム ページ32
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よく見ると、それは目金を救ってくれた少年だった。
「ん？ よぉ。また会ったな！」
時間差で、少年の横にサーフボードが落ちて、砂浜に突き刺さった。それを見てみんなが唖然としている。
「ん？サッカーって砂浜でもやるもんなのか？ ま、いっか。頑張れよ」
そう言うと少年は、サーフボードを脇に抱え、雷門イレブンから少し離れた砂浜に寝転がり、昼寝を始めた。
「……海から飛んできた……」
それから練習は続いた。一之瀬が塔子に向けてボールを蹴り、塔子が立向居に向かってシュートを打つ。
「“マジン・ザ・ハンド”！」
立向居ががっちりとボールを受け止めた。
「いいぞ、塔子！どんどん打っていけ！」
「……これじゃエイリア学園には通用しない…！」
塔子は、横にいたリカを見た。
「リカ！」
「ん？なんや？」
「アタシとバタフライドリーム、やってみないか？」
「はぁ？なんでアンタとやらなあかんの！？」
リカが塔子の方を向きながら反論した。
「アタシたちも、強くならないとだめなんだ！」
「そうだな」
鬼道が言った。
「攻撃のバリエーションが増えれば、作戦の幅も広がる」
「あかんあかん！あれはうちとダーリンのラブラブ技や！！」
「まだ一度もできてないけどね。うっしっしっ！」
リカは木暮を睨みつけた。
「せやせや、ダーリンが許さへんわ。なっ、ダーリン〜！！」
「いいんじゃないか？」
一之瀬は笑いかけた。
「やってみなよ。ねっ」
「…………」
リカは放心して、それから一之瀬に引っ付いた。
「やるやる〜！ええ考えや〜！さすがダーリン目の付け所が違うわ〜！ほらほら！なにグズグズしとんねん塔子！さっさと練習やるで！！」
「お、おう…」
マネージャーたちは苦笑いしながら二人を見ている。
「あの二人で大丈夫ですかね…」
「意外に合うかもね…」
「え、ええ……」
二人がボールを蹴って、ゴール前まで走った。
「いくで塔子！」
「おう！」
二人が高く飛び上がり、手を繋いでシュートを打とうとしたが、うまくタイミングが合わなかった。塔子がかろうじてシュートを打ったが、それはコースをそれた。
「ミスった！」
「焦りすぎやわ」
「うおっ！」
ボールがそれた先には、先程の少年がいた。どうやら、ボールがサーフボードを倒して、少年の顔を直撃したらしい。
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
