第221話 それが私の使命です ページ22
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秋は吹雪の方を見た。
「崩れてしまった……？」
「ええ」
「“ええ”って……そんな…」
秋は我慢ならないというように、監督にまくし立てた。
「だったら、どうして吹雪くんをチームに入れたんですか！？」
監督の顔が一瞬、衝撃で歪んだ。秋は監督を睨みつけながら、必死に続けた。
「だって、監督は知ってたんですよね？吹雪くんの過去に何があったのかを……だったら、今日みたいなことが起こるかもしれないってこと、分かってたはずじゃないですか！」
みんなも何も反論せず、瞳子監督を見つめている。
「なのに、どうして吹雪くんを……！」
秋はぐっと息を呑んだ。
「……エイリア学園に勝つためですか？」
みんなは秋を見つめた。秋はまだ、必死に監督に訴えかけていた。
「エイリア学園に勝てれば、吹雪くんがどうなってもいいんですか！？」
「秋、言い過ぎだ」
「だって……！」
一之瀬の制止で、秋は黙り込んだ。瞳子監督は俯いて、数秒間何も言わなかったが、やがて口を開いた。
「それが私の使命です」
その言葉はひどく冷酷だった。瞳子監督はそうとだけ言うと、病室を後にしてしまった。
病室には依然、重苦しい空気だけが流れている。それを少しでも和ませようとしたのか、リカは笑って話しだした。
「なになにこの雰囲気！ウチ、こういうの苦手なんよね……せや！みんなでパーッとお好み焼きでも食べて………ごめん………」
リカは俯いた。円堂は悔しそうに歯を食いしばった。
「なんで気付なかったんだ…！あのとき、俺が気づいてりゃ……こんな事にはならなかったんだ！！」
「やめろ！お前のせいじゃない！」
鬼道が言った。円堂は顔を上げた。
「でも、俺が気づいてれば、こんな事にはならなかったんだ！」
「これはお前のせいでも、監督のせいでもない。俺達チームの問題だ」
「チームの…？」
一之瀬が顔を上げた。みんなが鬼道を見ている。
「確かに、俺達はエターナルブリザードに頼りすぎていた。吹雪にさえ繋げば、点を入れてくれると……吹雪にとって、そんな思いが、かなりの重圧になっていたに違いない」
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
