第028話 それだけだよ ページ29
、
「え……な、なんで私なんだ？」
Aが焦って、少し上ずった声で聞き返した。
「運動が得意だって聞いた──色んな部の助っ人に駆り出てるんだろ」
「あ、ああ──」
「でも、サッカー部の助っ人にだけは入らなかった」
Aはきゅっと唇を結んだ。
「何か理由があるのか？」
「…………」
Aは立ち止まった。ちょうど、校庭のグラウンドがよく見える位置だった。
「私は……」
Aはそこまで言って、突然にっこり微笑んだ。
「サッカーは見るほうが好きってだけだ。雷門のサッカーを見るのが好き、ただそれだけだよ」
Aはまた歩き出し、豪炎寺の前を歩いた。少し早足だった。早く部室に着いて、一刻も早く、この豪炎寺の視線から逃れたかった。
─────
「みんな！！分かってるな！？」
「おー！！！」
「とうとうフットボールフロンティアが始まるんだ！」
サッカー部の部室。
円堂が叫び、それに皆が答えて声を上げた。
「で、相手はどこなんだ？」
「相手は──！」
円堂が真剣な顔でみんなを見ると、みんなも緊張した面持ちでごくりとつばを飲み込んだ。
「知らない！」
次の一言でみんなが呆れ顔に変わり肩を落とした。
「野生中ですよ」
その時部室の扉が開き、冬海先生が入ってきた。
「野生中は確か……」
「昨年の地区予選の決勝で帝国と戦っています」
「スッゲー！！そんな強いチームと戦えるのか！？」
「初戦大差で敗退なんてことは勘弁してほしいですね。ああそれから……」
冬海が後ろを振り向くと、部室の外から背の高い少年が顔を覗かせた。
「ちーっす！俺、土門飛鳥！一応ディフェンス希望ね」
「君も物好きですね。こんな弱小クラブにわざわざ入部したいなんて」
そう言って去っていく冬海のあまりのやる気のなさに、土門が冬海を指差しながら首をひねった。
「土門くん！」
秋が立ち上がった。
「あれ、秋じゃない！お前雷門中だったの？」
「何だ、知り合い？」
「うん、昔ね」
「とにかく！」
円堂は土門の手を取ってブンブン振り回した。
「歓迎するよ！フットボールフロンティアに向けて、一緒に頑張ろう！！」
「相手、野生中だろ？大丈夫かなあ？」
土門の言葉に、みんながきょとんとした。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
無名(プロフ) - マナさん» 大丈夫ですよ！頑張ってください〜！ (2022年3月5日 22時) (
レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 無名さん» 迷惑かけてすみません…… (2022年3月5日 18時) (レス) id: e4cf19c355 (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - まるまるんさん» そうだったんですね笑 わざわざありがとうございます😭🙏💗 (2022年3月5日 18時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - マナさん» 私の名前と作品名を表記して下さればそれで大丈夫です🙇♀ (2022年3月5日 18時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
マナ - まるまるんさん» まだ書いてはいませんが…イナズマイレブンの話なんですけど… (2022年3月5日 17時) (レス) id: e4cf19c355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無名 | 作成日時：2022年3月2日 8時
