ページ ページ47
.
「フー、フー」
息が乱れる。全身が燃えるように熱く、意識も混濁しつつあった。
「(な、なにこれ…)」
“通り過ぎた何か”は、もう見えない。私は、刀を持ち直して前に進んだ。
今なら、今の私なら−きっと、やれる!
*
「口寄せの術…?」
耳飾りの剣士が、不思議そうに小首を傾げる。対する私は、こくりと頷いた。
「神子は、口寄せの術––即ち、霊を取り込むことができるんです。力があればあるほど、その口寄せの術は高精度なものになります。
と、言っても…信じてもらえませんが」
情けなく笑う私に、耳飾りの剣士は傍にある岩に腰かけた。
「…その話、ぜひとも詳しく聞きたい」
耳飾りの剣士はそう言うと、真剣な眼差しで私を見つめる。初めて見る反応に、私は驚かされた。
*
「(…そうだ、口寄せ––)」
この空間の中を進めば進むほど、私の知らない"私の記憶"が脳内に流れ込んでくる。
否、今はもう––私の体じゃない。"私の体"だ。
きっと––この先に––あの人が、いる。
あの時、耳飾りの剣士とともに仕留め損ねた––鬼舞辻無惨が。
全身に血が巡る。体は熱いのに、頭は冷静。
視野が––世界が広く見えるこの感覚は、いつぶりだろうか。
*
「鬼狩りに––なろうと思った、きっかけってなんですか?」
私の問いかけに、耳飾りの剣士は何も答えない。動揺しているかのように、花札のような耳飾りが音を立てて揺れた。
「…あ、いえっ。言いたくないなら…大丈夫です…!」
不躾なことを聞いてしまった。私は話題をそらすように、違う話にすり替えた。
「あっ、えっと…口寄せの術––のことなんですけど…
これ、"人間だけ"にしか効果を発揮しないんですよ!
鬼となった人間の口寄せは、できないんです」
鬼となった人間は、死んでいない。死ねない。
だから、口寄せをそもそも使うことができない。
「…口寄せをした場合、その者の記憶や技も伝授––できるのか?」
「…はい。その人本来の精度よりだいぶ劣りますが…不可能ではないです」
私がそう答えると、耳飾りの剣士はふと視線を落とす。何かを––考えているように見えた。
「なら、この耳飾りを目印に––」
–––もし、鬼舞辻無惨に"人間として倒された時"
口寄せの術を使って欲しい–––。
流れ込む記憶の中、目の前にいるのは––
「……っ! 炭治郎!」
___
話が暴走しましたので、後日修正します。
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こっちん - 夢主ちゃんが、フジザクラの呼吸が使えるかもしれないということが出てきて、さらに、希少な稀血に前世の記憶があり?というのがあって、夢主ちゃんの正体はなんなのか、続きが気になって仕方がありません!!!更新、頑張って進めてください!!!待っています!!! (2019年8月24日 21時) (レス) id: e1802d5515 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - あいうえおさん» 誤字のご指摘ありがとうございますT T (2019年7月28日 22時) (レス) id: 04a1197c90 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 「宇随」ではなく「宇髄」ですよ。 (2019年7月28日 21時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:3939462xx | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2019年7月23日 8時