検索窓
今日:22 hit、昨日:3 hit、合計:51,557 hit

ページ ページ44

.

鬼たちが一斉に私を狙う。
その瞬間、独特の呼吸音と駆け足が聞こえてきた。

刹那、鬼たちの頸が辺りを舞う。朧月の霞む薄暗い闇に、鉄臭い雨が降ってきた。

「…無事か?」

長い黒髪。花札のような−耳飾り。落ち着いた声音。
私は、小さな声で頷く他なかった。

「…その服装−神職か。
−怪我がひどい。それじゃあ、また鬼たちが来る。こちらへ」
「は、はい…!」



サラシでぐるぐる巻きにされた私。思っていた以上に切り傷がひどく、サラシの上からじんわりと血が滲み出してきた。

「稀血の者−。護身用に、技を覚えておくと良い」

耳飾りの剣士−は、私にそう言うと小太刀を渡す。それは神職で使うものではなく、本物の−刀だった。

ただ、耳飾りの剣士が教える護身術はどれも少し−息苦しい。だから私は、独自の呼吸法を編み出した。フジザクラの舞を踊る時に使う息遣いなら、武闘に苦手な私でも順応できる。

私はこれを、フジザクラの息遣いと名付けた。耳飾りの剣士の呼吸とは全く違う、別の呼吸法。
でも、技は一つしかない。否、一つしか作れなかった。

「鬼の頸を斬ることはできても−技を繰り出すことはできないのか…」

そう言った耳飾りの剣士は、少し悲しそうな声を出した。

次ページ→←第9話 呼び起せ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
97人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 我妻善逸   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こっちん - 夢主ちゃんが、フジザクラの呼吸が使えるかもしれないということが出てきて、さらに、希少な稀血に前世の記憶があり?というのがあって、夢主ちゃんの正体はなんなのか、続きが気になって仕方がありません!!!更新、頑張って進めてください!!!待っています!!! (2019年8月24日 21時) (レス) id: e1802d5515 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - あいうえおさん» 誤字のご指摘ありがとうございますT T (2019年7月28日 22時) (レス) id: 04a1197c90 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 「宇随」ではなく「宇髄」ですよ。 (2019年7月28日 21時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:3939462xx | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2019年7月23日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。