検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:51,536 hit

第9話 呼び起せ ページ43

.

目の前にあるのは、縦横無尽に並ぶたくさんの襖や障子、そして畳。
辺りはシーンと静まり返っており、人気がない。

「(…。)」

ドクドクと、心音が脈打つ。
緊張しているのか、興奮しているのかは、分からない。
ただ、前に早く進まなくちゃいけないという気持ちだけはあった。

乱れそうになる息を整える。私は、深く––そして、ゆっくりと呼吸を整えた。

全身に血が巡る。身体が燃えるように熱くなり、ひどく冷静なのに心臓がばくばくとさっきよりも早く脈打っていた。

それは−感じたことのない感情。
喉の奥がむずむずするような、お腹の底から何かが込み上げてくるような。

「(…この感覚−!)」

そう思った矢先、足元に突然障子が現れた。また別空間に吸い込まれる。
あまりにも深く暗い闇に堕ちた私は、そのまま気を失ってしまった。



それは、いつかの記憶。身に覚えのない−記憶。

《…柱…。人−柱…。人柱!》

人柱−それは、私の−字名(あざな)
こうやって呼ぶ者は−限られている。

周りには、魑魅魍魎−色んな姿形をした鬼たちが、よだれを垂らしながら私を見ている。
鬼によって傷付けられた体は切り傷まみれ。血の匂い−稀血の匂いによって、たくさんの鬼たちが現れた。

人柱、と揶揄される所以。それは、文字通り生きたまま−鬼たちの犠牲になるから。
ここで一つ違うのは、最終的な犠牲を受けるのは鬼たちであるということ。

だから、鬼共に喰われることに−何も恐ろしさなど無かった。
自分が犠牲になれば−この負の連鎖を断ち切れるのだから。

次ページ→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
97人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 我妻善逸   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こっちん - 夢主ちゃんが、フジザクラの呼吸が使えるかもしれないということが出てきて、さらに、希少な稀血に前世の記憶があり?というのがあって、夢主ちゃんの正体はなんなのか、続きが気になって仕方がありません!!!更新、頑張って進めてください!!!待っています!!! (2019年8月24日 21時) (レス) id: e1802d5515 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - あいうえおさん» 誤字のご指摘ありがとうございますT T (2019年7月28日 22時) (レス) id: 04a1197c90 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 「宇随」ではなく「宇髄」ですよ。 (2019年7月28日 21時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:3939462xx | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2019年7月23日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。