フジザクラの息遣い

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朝。目が覚めると、しのぶさんの顔が見える。

「…おはようございます」

しのぶさんは私の視線に気が付くと優しく微笑みかけた。

「…Aさん。朝早くにごめんなさい。
あなたに、1つ––協力していただきたいことがあるんです」

私は、しのぶさんの話を黙って聞いた。

「検診も兼ねて––定期採血をしたいんです」

しのぶさん曰く、私の血––稀血の効能を使って、より強力な毒や薬を作りたいんだそう。
その目的は、悪しき鬼と––鬼舞辻無惨を倒す目的のため。

「それに…鬼舞辻無惨を倒す時––あなたの前世の記憶が見える可能性も汲んでいます」

目的は違えど、私も––鬼舞辻無惨とは何かしらの因縁があると思ってる。自身の––知らない秘密を知ることができるなら、それで良いと思った。

何より––私の前世の記憶を見るためには、鬼と対峙する必要がある。思えば、私の意味不明な行動や思考––も、全て鬼と対峙した時だけ。

「(鬼に会えば––何かしらの情報を得ることができるはず)」

まさに、利害の一致。

「はい、私でお役に立てることがあれば」

しのぶさんの顔が嬉しそうに輝いた。だけど私は後に––この、利己的とも取れる決断をひどく後悔することになる。

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