【HQ!!】牛島君のマブはお狐ガールになる。2Q!!

08:「球技大会・困惑」 ページ9

とは言ったけれども。


「……大口叩いてしまった……」
「珍しいね。自称慎重派のくせに」
「自称じゃないし、慎重派だし」

　
　男バレが盛んということと、これが最後の一試合ということ、そして二年二組には元バレー部が三人いて、一組は今の所ゼロ人。この驚異のダークホースと優勝候補筆頭の試合を観に来たというわけである。
　
　あ、今の所ゼロ人、というのは、つまり前向きに検討はしていますよーってわけで。

　ベンチの背後で観戦しているスナ君と治君、それから赤木さん。
　向こう側には尾白さん、大耳さん、銀島君と侑君もいる。バレーの決勝戦だけ15点の3セットマッチなのは何の陰謀か。ちなみに審判は我らが主将である。
　体育館には人が溢れ、キャットウォークから見下ろす人も多数。さすが決勝、格が違う。


　二組の緩やかなサーブに始まった攻防は、一組の粘り勝ちで一セットを先取した。したのだが、今、私は強烈な『嫌な予感』に襲われている。


「なぁ、義仲」
「なんですか、赤木さん」
「二組……手ェ抜いてへん？」


　ガバリ、振り返れば険しい表情の赤木さん。


「やっぱり！？そうですよね、絶対手抜いてますよね！？」
「おん、さっきのAパス……スパイク打てるはずなのに抜いとったわ」

　それに気付いたのは私達だけでは無いようで、向こう側の侑君の表情も険しい。いや、あれは険しいというか怒っているというか……。

「ツムもイラついとるな」
「尾白さんも大耳さんもいるし、北さんも見てるから暴れないでしょ」
「暴れられたら困るよ……！」

　そりゃあ決勝で手を抜いているとなれば、あの侑君が怒らないはずはない。余裕たっぷりに見える二組はそれに気付いていない様子なのがまた、なんか、アレだ。

「んー……幸いにも、うちのクラスの士気は上がってるから……様子見にしましょうか……」

　そして再開したゲームは、今度は驚く程の速さで二組が点を取る。
　観客も呆気に取られる鮮やかさで、最初の1セットは何だったのかと言いたくなるほどあっさりと2セット目を取られた。
　……しかも、点差は1-15。
　この圧倒的な差に、同情心も湧かないのかオーディエンスは二組にほぼ付いてしまったのである。



「……監督、マズくない？」
「マズいね……ゲームメイク以前に、圧倒的に強い……」



　三分間の休憩。ベンチに帰って来た皆は息も絶え絶え、あのユカリちゃんまでもが暗い顔である。
　そして、私は絶望的な事に気付いてしまった。

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