【HQ!!】牛島君のマブはお狐ガールになる。2Q!!

27:「ハイパーインフレ」 ページ32

後輩という生き物は、大抵可愛いものである。

　うちの理石も愛嬌があって可愛いし、とにかく一年ズみんな可愛い。
　たまに「義仲さん怒らせたらみんな侑君みたいな目にあうんやろか……」とか「死因がアイアンクローになってまうんか……」とか言っているのが聞こえない気もしなくはないが、まぁ……まあそれはいいや。

　だからたとえ他校の後輩であろうとも、キラキラした目で話しかけてくる子は可愛い。

「なるほど！牛島さんの好物はハヤシライスなんですね！」
「……あの、ハッシュドビーフとハヤシライスって何が違うんすかね」

　日向君と影山君。あのヒナタショウヨウと北川第一の影山飛雄である。
　ついつい興奮して怖い顔をしてしまったが、話してみると二人とも本当にバレーが好きないい子であった。すると廊下での立ち話は弾む。
　
「ハッシュドビーフはデミグラスソースがベースなんじゃなかったかなぁ……」
「あと、ビーフストロガノフとか……ありますよね」
「お前なんでそんなにハヤシ系の食べ物知ってんの？」

　……いや、いや、ね！！
　元々はちゃんとワカちゃん情報について話してたんですよ。と言っても、いない人のことを話すのも何とやらなので、左利きの話題で盛り上がっていたんです。が、いつの間にか話題は好物の話に。

　うちの後輩も可愛いけど、こういう……何と言うか、おバカわいい系はあんまりいないのでちょっと新鮮。世の中に擦れて無い感じが良い。これは良い。

　マネの谷地さんも清水さんも可愛いし、烏野は可愛いのハイパーインフレでも起こしているんじゃないだろうか。

「いいね、烏野……」
「あざっす……？」
「あのあの！稲荷崎はどんなとこなんですか！」

「稲荷崎はね……強いよ」

　ここで敢えて多くを語らず強豪感を出すのが稲荷崎クオリティである。

　決して双子の乱闘でギャンブルしてるだとか、ツッコミがいないと収拾がつかないとか、私がついつい「わぁ〜関西風お好み焼きだぁ」と言っただけで大乱闘が始まってしまったとかそんな事実を口にしてはいけない、絶対いけない。
　私はフッと笑う。

「春高で試合できるの、楽しみにしてるね」

　影山君と日向君は「うっす！！」と良い返事で頷く。直後、烏野の主将に引き摺られていく二人を見送って、私はぐっと伸びをする。




「なんか、私も頑張らなきゃな……！」



　取り敢えずお前は兵庫帰ってこいや、と心の中で北さんが呟くのであった。てへっ。

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