17:「全国三大ナントカ」 ページ22
全国三大エース。
それ即ち、高校バレー界を代表する3名のスパイカーの総称である。
東北のウシワカ、九州のキリュウ、関東のサクサ。
私はこの三大エースの内、二名と知り合いなのであった。
「言われなくてもとっとと兵庫に帰りますけど」
「あっそ」
なぜお前がサクサの知り合いなんだよ!と思われるかもしれないが、別に深い理由も無いし、仲良しでも何でもない。むしろそこまで親しくない。連絡先も特には知らない。
強いて言うならば、私が全国大会常連だった中学の頃のよしみである。
あの頃からサクサに可愛げなど無かったなぁ……と懐かしんでいると、彼は少し目を泳がせて、そしてまるで照れた乙女のような顔で私を見下ろした。
既に嫌な予感というか、お決まりのパターンである。私はふ、と溜息を吐いた。
「……なぁ」
「……なに?」
「若利くんは元気?」
彼も私もワカちゃんが憧れの存在なのであった。
むしろ話題はそれだけである。ワカちゃんという共通の知り合いのお陰で会話するだけである。流石ワカちゃん。我らがワカちゃん。
関西のヨシナカ、関東のサクサ、東北のシラブ。この3人をまとめて全国三大ワカちゃんファンと呼ぶとか何とか。嘘です、私が今適当に言いました。
「元気にしてるっぽい。最近食べたタピオカに対して疑問を抱いてたけど……飲み物に入れずとも、器で食べればいいのにって。タピオカは十分単体でも売り出せるって語ってくれたよ」
「ふぅん」
「って言うか、そこはまず私に『最近どう?』って聞くべきじゃない?」
「どうせドッチボールをレシーブしたぐらいだろ。お前の近況なんて」
……帰ったらスナ君しばきたおそう。そうしよう。
まぁともかくそんなわけだ。
ワカちゃんの話をしている間にも、ジャージ姿の学生が電車がホームに止まるたびに降りてゆく。
そんな中で他校の制服の私と、高身長のサクサが話しているのは浮いていた。しかし彼は去る気配も無く、乗り換えの電車を待つ私の傍に立っている。
「まぁ、インハイでワカちゃんに電話番号聞いたら?立て込んでない限りお話してくれると思うよ」
「それが出来たらお前に話しかけて無いんだよ」
「つまりワカちゃん目当てってこと……?ま!サクサ!!酷い男!」
「……チッ」
悲しい事に舌打ちにも慣れてしまっているので、えんえんと泣き真似をしていると目の前にスマホが突き出された。
「え?」
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藤浪(プロフ) - akneさん» 2回目のコメントありがとうございます!!笑!テンションが上がったようでなによりです!臣くんは書いていてとっても楽しいので、ちょくちょく出てきてもらいたいなと思ったり……!更新頑張りますね〜!! (2021年5月6日 19時) (レス) id: 0698c9c155 (このIDを非表示/違反報告)
akne(プロフ) - 2回目のコメント失礼します!臣くんきたーーーーー!!臣くんの登場によりテンションが上がっております!好きです!更新頑張ってください! (2021年5月6日 0時) (レス) id: b4edb87e83 (このIDを非表示/違反報告)
藤浪(プロフ) - コメントありがとうございます!面白くて大好きだなんて……はい!楽しんで更新して参りますので、どうぞよろしくお願いします!! (2021年5月4日 7時) (レス) id: a6c7f148a0 (このIDを非表示/違反報告)
umisorako - この作品面白くて大好きです!続き楽しみです (2021年5月3日 11時) (レス) id: 7e05f36517 (このIDを非表示/違反報告)
藤浪(プロフ) - akneさん» 嬉しいコメントをありがとうございます!嬉しくてニヤニヤしております(笑)若利君を語るならば、臣くんは外せませんよね……!ぜひぜひ今後の展開をお楽しみに!更新頑張ります〜! (2021年5月2日 16時) (レス) id: 0698c9c155 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤浪 | 作成日時:2021年5月1日 22時