【HQ!!】狐憑きのサクサさん【呪術廻戦】

18【そんなばかな】 ページ20

紹介しよう。

　男子バレーボール部のレギュラーで私のクラスメートの角名倫太郎は、愛知出身の体幹オバケミドルブロッカーだ。
　男バレと女バレの仲は別に良くも悪くもだけど、私と角名は一年の時も同じクラスだったのもあって結構仲が良い。

「じゃあ、その2人は俺と佐久早以外には見えないってこと？」

「おん！」
「せやで！」

　体育館裏の人気が無い倉庫の横で、角名の腕にぴょんぴょん飛び掛かろうとしている2匹を抑えながら、私は頷いた。

「話せば長くなるし滅茶苦茶ファンタジーなんだけど、聞く？」
「……昼休み、空いてる？」
「……大丈夫」
「なぁなぁ！スナー！」
「なに？」
「それなに？ボール？」

　バレーボールだよ、と腰にしがみついている侑にドン引きしながら説明する角名。私は「あんなぁ」と話しかけてくる治を抱き上げてため息を吐いた。

「でもなんで角名には2人が見えるの？」
「先祖返りなんやろ。スナの目ぇ見たら分かるで」
「先祖返り？なにそれ」

　侑が何故か得意げに胸を張る。

「スナの先祖は、ケモノと交わったんや」
「んんん……それって、結婚したってこと？」
「おん！結婚して交……ちゃうな、人間はなんて言うんやったっけ、えーっと「分かったからストップ」ほぉん」

　朝から話すような言葉じゃないワードが飛び出して来そうな気がして、私は思わず侑を止めた。危ない、危ない。

「まぁ、要はケモノと人間のカップルの末裔ってことでいいんだね」

　上手くまとめられた。角名は「いや訳わかんねぇよ」とでも言いたげな顔で、自力で肩車の位置まで登ってきた侑にされるがままにしている。昼休みにケモノの説明からしなくちゃな、と考えながら治を撫でて、うーん、と呻いた。

「スナの先祖が交わったケモノは、目がえぇケモノやったんやな。せやから、俺らの姿も呪霊の姿もよぉ見える。視力もめっちゃええやろ」

「……呪霊って？」

「あっこでふよふよしよる、黒いやつ」

　オサムが指す先には、蝿のような黒いものが浮かんでいる。私にも見える。
　角名は「あれ、呪霊って言うんだ」と頷いた。

「じゃあ、昼休みに全部説明してくれんだね？」
「うん……なんか角名も無関係じゃないっぽいし、見えるなら助けて欲しいし……お願いします」

　体育館の方から私達を呼ぶ声がする。
　二人で顔を見合わせて、それじゃあ教室で、と歩き出せば先程までしがみついていた二匹は「ほなまた後で〜」と姿を消してしまったのであった。




【そんなばかな】

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