17【眷属&眷属】 ページ19
「なぁー」
「自転車漕いでる時は話し掛けないで!侑はちゃんと掴まってる!?」
「おんーチャリめっちゃたのしー」
「そりゃよかったね!」
午前六時半。
ばばぁは起きるのが早くなってねぇ、と言う祖母の作ったおにぎりを食べて家を出る。今日は部活の朝練があるのだ。二年生とは言えスタメン、しっかり練習するぞと気合を入れて自転車を漕ぐ。
前かごには治、後ろの荷物台に侑を乗っけて。
『ケモノ憑きとケモノは基本的に傍におるんが基本や。ケモノ憑きの人間の呪力は、ケモノの影響で変質する。呪霊やら呪術師に狙われやすい状態に今、サクサの体は変化しつつあるんやけど、ここまでは分かるな?』
北さんによるケモノ憑きレクチャーによれば、「ケモノ憑き」と呼ばれる人間は「ケモノ」と契約を結ぶことでその体質ごと変化するらしい。
例えば私なら、今目の端に黒くて禍々しい化け物が見えるようになったり。
「くってええ?」
「どうぞ」
自転車を田んぼの横っちょに停めると、侑と治がぴょんぴょん駆け出してゆく。こうして見る分には幼い双子の少年が耳と尻尾を揺らして朝の田んぼの方に走って行くみたいでかわいいんだけど、なにせ飛び付いて鋭い牙で噛み千切っている化け物が化け物である。私はそっと目を逸らした。
『ケモノ憑きの身に危険があれば、ケモノは必ず守りに飛び出す。それが契約の内容であり、死後に体を貰い受ける縛りを守らせることに繋がるからな。そこんとこは絶対に裏切らんから、安心して使役するとええ』
そういうわけで、私とこの双子の眷属は行動を共にする必要があるのだ。
……だからって、変化して人から見えないように出来るからって、高校に着いて来るのはちょっと……と、絶賛女子高生の私は思うのである。
「サクサー行こー」
「はいはい」
「学校って勉強するとこなんやろ?サクサが勉強しよる間、俺ら遊びに行ってもええ?」
「人に迷惑かけないならいいよ」
「やったー!」
「ほなね、ほなね、俺、図書館行ってくる!」
「本当に人から見えないんだよね……?」
おん!俺らは空気みたいなもんになれるから!とキラキラした笑顔で頷いた二匹を信じた私がアホでした。
「佐久早、何連れて来てんの……?」
朝練の体育館で、同級生の男バレ、角名倫太郎がその眼を限界まで広げて私の足元に纏わりつく二匹を見たのであった。
【眷属&眷属】
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藤浪(プロフ) - merisuさん» 初めまして!とても面白いだなんて……ありがとうございます!ぼちぼち書いていきますので、どうぞのんびり更新をお待ちください……! (2021年8月20日 20時) (レス) id: a6c7f148a0 (このIDを非表示/違反報告)
バボ - はじめまして!!一気読みしました!!いやぁ、侑君と治君めちゃくちゃかっこいいし、可愛いですね!とても面白かったです!!続き待ってます。頑張ってください! (2021年8月19日 22時) (レス) id: f5aeefa10b (このIDを非表示/違反報告)
merisu(プロフ) - はじめまして。とても面白い作品をありがとうございます!!続きを楽しみに待っています(^^)更新頑張ってください!! (2021年8月19日 19時) (レス) id: bbb64c35b8 (このIDを非表示/違反報告)
藤浪(プロフ) - mioさん» はじめまして!嬉しいお言葉、ありがとうございます。もふもふいいですよね、もふもふ……。聖臣くんを書くのもとても楽しみなので、のんびりご覧いただければ幸いです!! (2021年8月8日 6時) (レス) id: 0698c9c155 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 初めまして。とても面白かったです!もふもふ触りたい……。聖臣くん登場するのも楽しみにしております (2021年8月6日 20時) (レス) id: e44c41366c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤浪 | 作成日時:2021年4月28日 22時