15【NO睡眠YES気絶】 ページ17
「ッは!!」
いけない、意識が飛んでいた。
私はガバリと身を起こして、そしてズキズキ痛む後頭部をぎゅと抑える。そうだった、おばあちゃんの薙刀が後頭部に直撃したんだった。どうしてくれるんだ、おバカになったら!と顰めていた目を開けば「起きた!みどりちゃーん!」「みどりちゃん!起きたで!」と祖母の名前を連呼するツムと治。
「お、よぉ寝とったな」
居間の机の方を見れば、お茶を片手に新聞を読んでいる北さんがいた。
なんでこの人達、ウチに馴染んでいるんだろう。
縁側の方を見れば既に夕暮れ時。結構の間気絶してたんだなぁ、と呑気に伸びをしていると祖母がぱたぱたと小走りで台所からやって来た。
「あぁ、ごめんねぇ。おばあちゃん、頭に血が昇っとって」
「大丈夫だよ、部活しててもたまーにこんな事あるし」
それより、と祖母の横に立っている二匹を指さして、それから祖母を見る。
「おばあちゃん、この子達が何なのか知ってるの……?」
「もちろん知っとるよ」
「でもさっきは追い払おうとしてたよね?」
「あぁ……野良のケモノやと思ったんよ」
まさか、Aちゃんのケモノやとは思わんくてね。とほけほけ笑う。いや、ちょっと待って。今日はちょっと待ってを連呼している気がするけど、致し方ないじゃないか。
何故祖母がケモノの事を知っているのか、野良のケモノとは何ぞや、という気持ちを込めて北さんの方を見れば「一から説明せなあかんな」と彼はよっこらせ、と立ち上がる。
「信介さん、お茶のお代わり持ってきましょか」
「ほなお願いしよか」
「待って待って、待って!北さんはおばあちゃんの事知ってたんですか!?」
「おん」
サクサの家は、ここらで数少ないウチの氏子やからな。となんでもないように北さんは言った。
「氏子って、アレですよね、お寺の檀家さん的な」
「まぁ……神主としては至極微妙な感じやけど、そういうわけやな」
「でもそんな事一言も言ってくれなかったじゃないですか」
「聞かれんかったからな」
ふっふ、と北さんは笑う。
ちょっぴしこういうとこあるよね、と一週間の付き合いでなんとなーく掴んで来た北さん像に肩を竦めて、私も布団から立ち上がるのであった。
【NO睡眠YES気絶】
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藤浪(プロフ) - merisuさん» 初めまして!とても面白いだなんて……ありがとうございます!ぼちぼち書いていきますので、どうぞのんびり更新をお待ちください……! (2021年8月20日 20時) (レス) id: a6c7f148a0 (このIDを非表示/違反報告)
バボ - はじめまして!!一気読みしました!!いやぁ、侑君と治君めちゃくちゃかっこいいし、可愛いですね!とても面白かったです!!続き待ってます。頑張ってください! (2021年8月19日 22時) (レス) id: f5aeefa10b (このIDを非表示/違反報告)
merisu(プロフ) - はじめまして。とても面白い作品をありがとうございます!!続きを楽しみに待っています(^^)更新頑張ってください!! (2021年8月19日 19時) (レス) id: bbb64c35b8 (このIDを非表示/違反報告)
藤浪(プロフ) - mioさん» はじめまして!嬉しいお言葉、ありがとうございます。もふもふいいですよね、もふもふ……。聖臣くんを書くのもとても楽しみなので、のんびりご覧いただければ幸いです!! (2021年8月8日 6時) (レス) id: 0698c9c155 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 初めまして。とても面白かったです!もふもふ触りたい……。聖臣くん登場するのも楽しみにしております (2021年8月6日 20時) (レス) id: e44c41366c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤浪 | 作成日時:2021年4月28日 22時