若菜色の組紐 ページ7
私の着物と同じ色をした紐は、光の当たり方でキラキラと輝いて見えた。
兄上は髪を結んでいないから、長い髪できっと暑いだろうなぁ。
私は、乳母である『さと』に、他にも紐がないか尋ねてみようと考え、兄上を喜ばせる事が出来たなら……と想像した。
兄上の笑っているお顔がみたい。
「……済まない、遅くなった!」
いつも武家の子息らしく髪を結っている兄様が、息を切らして走って来た。
「今日は、お家の中でお勉強されていたのですか?」
「あぁ。ずっと座っていたから疲れた」
肩で息をする兄様は、少し汗をかいていた。
よっぽど急いで来てくださったのだろう。
拳で額の汗を拭い、顔を上げて交互に兄上と私の顔を見た。
「……ん? A、お前、髪を結ってもらったのか!
よく似合っているぞ! ……なぁ、縁壱」
「…………。」
私は知っている。
口数が少なく、表情があまり変わらない兄上を、兄様は気味悪がっていることを。
そして時に兄様は、そんな兄上を心から可愛がっておられることも。
兄上はいま、何を考えておられるのだろう。
私にとって、それを当てるのは遊びだった。
あとで兄上が居ない時に、兄様と二人でこっそり、
「……縁壱の奴、あの時は何を考えていたと思う?」
「きっと、明日の天気を考えておられたのだと思います」
などと言って笑い合うのが、とても楽しかったのだ。
兄様は普段、誰かをからかう様な事はしないが、二人だけで兄上の話をする時だけは、少し悪戯っぽい表情をされる。
そんなこんなで、今日は結局庭の池の周りをうろちょろしただけで、あっという間に時間が過ぎてしまった。
「今日はそろそろ……」
そう兄様が言いかけた途端に、雷鳴が轟き、急激な雨が降り出した。
急いで縁側の内へ駆け寄ると、奥方様がお部屋から出てこられた。
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藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
澪 - すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時