悲しく響く ページ42
そして兄様は何故、私の事を庇ってくださるのだろうか……?
鬼となってしまった私の事を……………。
「縁壱、無駄な争いは避けるべきだと思わぬか。
人が集まる様な事だけは避けたい」
「………わかりました」
巌勝兄様が刀を鞘に収める事なく続けた。
「お前は何故、Aに刃を向けた? 上からの指示か?」
「いいえ」
袖で涙を拭いながら兄上は答える。
「鬼となってしまったのか、はたまた鬼にはなっていないのか……このままではいつまで経っても判断出来かねると思いまして、鬼となっていなければ失う覚悟で………斬りかかりました」
……………そうか、兄上は私を殺して人々を鬼の脅威から守るべきろうとも……私の不安を払拭しようとも思ってくださっていたんだな。
何だかいたたまれない気持ちになる。
怒りに震えている巌勝兄様の背中をみつめている間に少しずつ、先程斬られたところが回復してきていた。
……? なに………?
今、二人の間に何かが走った様な気がした。
まさか……殺気?
「A、逃げろ」
「えっ……」
兄様が刀を構え直している。
対する兄上の表情は、一等険しいものになっていた。
私には背を、兄上には刃先を向けたまま、兄様は厳かに響く声でこう言った。
「此奴は鬼狩りにとってなくてはならぬ存在なのだ。
罪に問われる役なら俺が引き受けよう」
「されど兄様……」
「行け!!」
次の瞬間、鬼を斬るための刀同士が激しくぶつかり合う音がした。
呼吸を使えば、両者命を落とすかもしれない………そう考慮してなのだろうか。
振り向けない、振り向かない。けど、思うように走り出せなかった。いつものように逃げる事が、出来なかった。
70人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
澪 - すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時