【鬼滅の刃】兄様、兄上、お助けくださいっ！！【継国兄弟】

感じられぬ痛み ページ41

痛みなど感じない。けれども、心は確かに激痛に耐えきれず叫び出した。

視界を遮る炎の向こう、目に映ったのは他でもない縁壱兄上の姿。
兄上が私を斬りつけた……！！ その事実が、悲しかった。

今のは躊躇い混じりの一撃だ。
次が来れば、私は確実に殺される……！

『ゴォォオオオオ……』

精一杯に身を捩るが、私の四肢は既に無くなっていた。

喉の奥から熱いものが込み上げる。吐き出したのは大量の血。刻まれたものは再生せず、血も止まらないが痛みだけは感じぬままだ。

私は兄上を見つめた。

目元に涙を浮かべていたが、構えには少しの隙もない。動くことができず、そのままうずくまる。
私は瞬時に全てを諦めた。もう全て、兄上に委ねよう………。

兄上が、こちらへ向かって一歩踏み込んだその時だった。

『キィィイン！！』

ぶつかり合う刃と刃が、劈くような音を立てる。私を庇う様にして目の前に立ちはだかったのは、巌勝兄様……。

「何故この様な事をしたのだ！！ 接触がわかれば
再び引き離されてしまうのだぞ？！！」

憤る兄様の声が響く。……そうだ。私は、思えば小さい頃からずっと、ひとりぼっちで閉じ込められていたんだ。

今でもまったく変わらない日々だ。常に誰かに監視され、一歩も外へ出る事は許さない。

兄様方とも会えない。そんな日々が………またずっと続くのか。

空虚な生活を送るくらいならば、兄上の信念のもとに鬼として葬られたほうがいい。

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