【鬼滅の刃】兄様、兄上、お助けくださいっ！！【継国兄弟】

尽くし果て ページ33

おかしい……！

この女、私の血に恐ろしい速さで順応していながら、一向に鬼へと変じない。

それに、再び刃を私に向けた今、こいつの動きは先程までの速度とは比にならない……！

私が、不利な状況に陥っている。

みるみるうちに体温が上昇し、攻撃には力強さが一段と増した。

そして私は、自分の手首が斬り落とされたのと同時にある事に気がついて身の毛がよだった。

女に負わせた怪我が、どんどん回復していくのだ！！

ギリギリの所まで攻め込まれる。正に速攻の応酬。
こいつが捨て身であると判った時、私は逃げる事を決断した。


「……ではA、私の血を上手く受け入れ、完全に鬼となれた暁にはまた会いに来てやろう」

「待て！！ お前っ……ふざけるなっ！！！」

「勢いのままに刀を振り、いつまでも追いかけ回す
その愚かな行為は今すぐ辞めた方がいい」

「……っ？！」

ブチッ

血管の音……。切れたのか？ まぁこの女はどうせ、私の血を利用して、幾らでも回復してしまうのだ。

今まで有り得なかった事だ。利用出来れば便利だが、そう簡単にはいかない。

早く逃げ切らねば。



………くそっ、刀を振れば振る程、奴は遠ざかっていく！！

「待てっ！！！」

この距離ではもう……！！
手に、腕に、全身に力を込めて、いちかばちかで刀を投げる。

……刺さった！！ けど、届いたその刃の色は、紅い色をしていた。

あれが私の日輪刀？

確実に急所を仕留めた為か、無惨と名乗った鬼の動きが鈍くなり始めた。

追えっ………！！


ドサッ

「！？」

そんな……！ 弱っている敵を目の前にして、膝を突いてしまった………。

両手も地面に吸い寄せられるように突く。

「ヒュッ……ゼェ………ゼェ」

呼吸が出来ない……？！ ………肺が痛い！！！

「はぁっ……げほっ、がはぁっ………待て……っ！」

動け、動け、動け………！！
嗚呼、力が入らない！！

ここまで追い詰めたというのに…………！

私はここで終わるのか？ 果てるのか？
何も残さないままに……？

「ヒュウ………うっ」

犬死か………………。

巌勝兄様……縁壱兄上………。
申し訳ございません………！

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